戦後70年の節目に「沖縄のチャップリン」と称された芸人・小那覇舞天(ぶーてん)さんの、秘蔵のネタ帳や脚本などが見つかった(本紙1日付)。歯科医院を営む傍ら、戦争で心身を痛めつけられた沖縄の人に、たくさんの笑いを届けた舞天さん

 ▼書き残されたメモや手帳からは、多くの人に愛された優しい人柄がにじみ出る。戦世を憂い、球児の活躍には「シタイヒャー」と膝を打つ。トイレの使い方を大仰に書いた張り紙は「布告」から始まるいかめしさ

 ▼苦しい時代を生きるウチナーンチュを笑いで元気づけ、その笑顔を自らの芸の肥やしとしたことだろう。ユーモアとウイットに富み、芸人らしく時代を風刺する姿を、ぜひ生で見てみたかった

 ▼日々を生きれば、病や貧困、自然災害や圧政と、必ず窮屈な時期や辛苦は訪れる。昨年末、臓器や声を失ってもなお、困難に立ち向かい人生をたくましく生きる、がんサバイバーの方々と取材で再会した ▼がん発覚から治療、闘病生活や後遺症など、講演会で辛(つら)い経験を振り返りながらも、その表情や語り口は力強い。そして印象的なのは彼らの笑顔だ。悲嘆に押し潰(つぶ)されず、堂々と話す姿は聞く人の心も強くする

 ▼2015年は始まったばかり。互いの絆を結んで苦難を乗り越え、笑顔の多い1年になってほしい。笑う門には福来たる。(儀間多美子)