本土との格差是正を目標にした復帰後の沖縄振興策によって、県内では道路や空港など社会資本が充実し、観光や情報通信産業が大きく成長した。格差の代名詞とされた1人当たりの県民所得は、十分とはいえないまでも、全国水準の6割から7割超へと差を縮めている。

 ところが教育の分野に目を向けると格差が拡大している指標がある。大学への進学率だ。大学へ行く、行かないは個人の自由ではあるが、置かれた環境で受けられる学びに差が生じ、それが将来の所得格差につながるとすれば問題である。

 学校基本調査から高校卒業者に占める大学等進学者の比率を見てみよう。復帰時の1972年は全国平均29・2%に対し、沖縄は26・5%で、それほど差はない。しかし全国は90年以降、伸びが目立ち、2014年には53・8%に。一方、沖縄は伸びが鈍く、14年は37・7%である。全国との差は16・1ポイントに広がっている。

 進学率の地域間格差は教育関係者の間で問題視され対策も取られてきたが、一般県民の関心は薄かった。自立経済の実現に人材は不可欠で、決して小さくない問題である。

 経済学者の橘木俊詔さんは、大学進学率が70%を超える東京と、30%台の沖縄や岩手、青森、鹿児島などの数値を基に「生まれた場所、居住する地域によって、大学進学への道のりが大きく左右される」と指摘している。(「『機会不均等』論」)

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 大学進学率の地域間格差は、大学が都市部に集中していることや進学塾など学習環境、家庭の経済力が主な要因である。

 特に沖縄は離島県で、さらに多くの小さな離島で構成されているため、自宅から通える大学がない、あるいは少ないというハンディを持つ。

 親元を離れて下宿生活を送れば1カ月10万円以上の生活費がかかる。安いと思われている国立大学でも、入学金と授業料を合わせ初年度は80万円余りが必要となる。

 全国一低い県民所得を考えると、家計への負担はかなり重い。

 もちろん学力の問題も避けては通れない。親の所得水準が子どもの学力に影響を与えているというデータをどう読み解くか。進学率が伸び悩む原因については、多角的な検証が必要である。

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 沖縄21世紀ビジョン基本計画に「沖縄の比較優位を生かした新たな価値を創造する人材の育成を産学官の連携で推進する」と人づくりの方針が示されている。中でも大学は重要な人材育成の場である。

 翁長雄志知事は知事選で「給付型奨学金の創設や県立中高一貫校の設置で大学進学率を高める」と約束した。

 問題の根っこには教育分野へ公的支出の低さがあるが、今、教育が必要な子どもたちのことを考えると、国の対応を待ってはいられない。

 沖縄振興の重要なテーマとして、大学進学率を含む教育の格差是正に本腰を入れるべきだ。