【南風原】ガジュマルの大木が店を覆って涼しげな南風原町大名の照喜名商店が9日、南風原町道拡幅工事に伴い閉店する。およそ50年前に開店。首里方面に徒歩で向かう学生らが木陰で涼み、地域住民は店の周辺に腰掛けて雑談する憩いの場所だった。「閉店は寂しい。買い物など、よくしてくれた地域の人に感謝を伝えたい」と話す店主の照喜名ヨシ子さん(87)は、10日午後5時から「閉店の集い」を同店で開く。

ガジュマルに覆われた照喜名商店と店主の照喜名ヨシ子さん。首里と与那原を結ぶ道路に面し、木陰で人々が休んだという=5日、南風原町大名

ガジュマルに覆われた照喜名商店と店主の照喜名ヨシ子さん。首里と与那原を結ぶ道路に面し、木陰で人々が休んだという=5日、南風原町大名

 店主の照喜名さんは新川出身で、2012年に亡くなった大名出身の名清さん=享年(91)=と結婚。当初は農業を営んだが、住宅と店舗を兼ねる現在地に引っ越した後、豆腐の製造・販売を始めた。やがて、首里から仕入れたみそを売るなどして、1965年ごろに店を始めた。

 地域住民が足しげく通う人気の店だった。長男朝弘さん(58)の妻治枝さん(58)が嫁いだ80年ごろは、旧盆になると、缶詰やビールを詰め合わせたお中元が店内に並び、ヨシ子さんは接客で大わらわだった。しかし、町内でのスーパーの開店、買い物に来る同世代の客も高齢化で減少。車の普及で、店の前で一休みする人もいなくなった。

 閉店は、町道の整備工事が理由だ。店のある三差路から首里に向かう道路は交通量が多い一方、歩道がないため、町が拡幅を計画。県道240号から町道に入る際の見通しを良くするため、商店部分の土地の買い上げが決まった。実際の道路建設工事は数年先といい、商店脇の現在の町道は生活道として残される。

 県内のアイスクリーム製造大手がCMに撮影したこともある、味わいのある外観をつくったガジュマルは、3本のうち町道側の1本を残して伐採される。戦前から生えており、高さは8メートルほどある。近所に住む北丘小6年の上原拓海君は、週に1、2回、買い物で訪れる。「遠くの店に買い物に行かないといけないのかな」と寂しそうに話す。

 ヨシ子さんは「いまは遊び半分。健康のために店を開けている」と笑う。取り壊し対象外の敷地奥側の住宅に家族と住み、今後は公民館でのデイサービスなどを楽しむつもりだ。