2015年度予算案の決定を前に上京した翁長雄志知事への政府・自民党の冷淡な対応が続いている。

 沖縄振興予算について話し合う自民党沖縄振興調査会などの会議に出席できなかったばかりか、サトウキビ関係の要請で面談を求めていた農相とも会えなかった。

 党本部の会議は県の要望を聞く重要な場で、仲井真弘多前知事は当たり前のように出席していた。農相の方も、JA沖縄会長や県関係自民党国会議員らの要請には応じている。

 昨年末、就任あいさつで上京した折りも、閣僚で会えたのは山口俊一沖縄担当相だけだった。首相や官房長官と頻繁に会談していた前知事との関係から一転、示し合わせたような大人げない振る舞いである。

 冷遇は予算にも表れる。政府は来年度沖縄振興予算を、概算要求から700億円近く、本年度予算から360億円ほど減らし、3100億円前後で調整しているという。

 予算は国の財政事情に応じ財務省の査定を経て決定するわけだから、要求から減ることは不思議でも何でもない。ただ米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する知事に代わった途端の減額が、何を意味しているかは明白である。

 地方分権一括法によって国と県の関係は「上下」から「対等」に改められたはずだ。対話すら拒む政権の姿勢は、選挙で示された沖縄の民意を敵視するのに等しく、到底受け入れられない。

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 首相官邸ホームページは、沖縄振興策の必要性について三つの特殊事情を挙げて説明している。

 沖縄戦と米軍統治でインフラ整備が遅れたこと、離島県であること、国土の0・6%の土地に米軍基地の74%が集中していることだ。

 ここでの基地集中とは、既存基地の過重負担を言っているのであって、新基地建設を含むものではない。

 にもかかわらず予算で揺さぶりをかけるのは「政権与党とパイプのない知事の下で泣くのは県民」とのメッセージを送り、世論を分断したいからだろう。

 動揺する必要は全くない。全国的にも注目されている予算である。翁長知事は特殊事情に照らし要求すべきは要求し、予算をちらつかせた基地受け入れは選挙公約に従って拒否する。国の姿勢と、知事の対応のどちらが「まっとう」か。県は最後まで「まっとうさ」を貫くべきである。

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 冷遇に加担する県関係自民党国会議員の態度は、選挙で負けたことへの腹いせにしか見えず残念である。個人的な怒りや反発を、当選したばかりの行政の長の公人としての行為に向けるべきではない。

 安倍政権の強権的なやり方が、県民世論をますます硬化させている。知事に翻意を促すのは公約を破れということと同じで、代表制民主主義をも否定する。

 沖縄側から対話の扉を閉ざすことはない。理不尽な対応や民意を踏みにじる差別的手法に対して政府不信を募らせることはあっても、屈することはない。