フランスで発生した週刊紙本社襲撃や立てこもり事件は、言葉を失う卑劣なテロであり、民主主義社会への重大な挑戦である。国際社会は、結束してテロの撲滅に立ち向かわなければならない。

 風刺専門週刊紙「シャルリエブド」のパリの本社に7日、武装した男たちが押し入り、編集長や風刺画家、警官ら12人を殺害した。

 実行犯とみられる容疑者2人は逃走し、パリ郊外の建物に人質を取って立てこもったが9日、治安当局によって射殺された。

 一方、パリ市内で別の容疑者による食料品店への立てこもり事件も発生。容疑者は射殺されたが、人質4人が容疑者に殺害された。

 一連の事件によって、フランスでは3日間で、一般市民や警察官ら17人が犠牲になった。平穏な社会を脅かす無差別テロとも言える蛮行がなぜ起こったのか。

 週刊紙が襲撃されたのは過去にイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載したことに対する報復とみられる。2011年には、週刊紙の事務所に火炎瓶が投げ込まれ全焼する事件も起きている。いかなる理由があろうと、言論や表現の自由を暴力で封じ込めようとする行為は許されない。

 襲撃した容疑者は、フランス国籍を持ったアルジェリア系の兄弟である。過去にイスラム過激派との関わりがあったとされるが、自国の人々を標的にした残虐な行為に至った背景に何があるのか、徹底的に解明されなければならない。

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 移民社会といわれるフランスには、多くのイスラム系住民がいる。人権の国といわれる一方で、イスラム教徒の女子生徒が公立学校でスカーフ着用を禁じるなど、移民の同化政策を取っている。

 その政策は一般の市民社会とは別の「移民社会」の存在を浮かび上がらせる。貧困や失業など一般社会との格差によって疎外感を深める移民社会の若者たちも多いといわれる。この環境がテロネットワークの温床になっているとの指摘もある。今回のテロを起こした容疑者らもイラクのイスラム過激派と関連のあるパリの組織に関わっていたとされる。

 ただ、オランド仏大統領が「狂信的テロリストの行為で、イスラム教とは別のものだ」と述べているように、一部の過激派による行為がイスラム教への偏見につながることがあってはならない。

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 国際社会はいま、テロの拡散の脅威に直面している。世界各国から戦闘員を募る「イスラム国」など、ネットを通じてイスラム過激派の思想が各国の若者らを刺激しているからだ。過激派と関係のある人物が母国でテロを起こす懸念も高まっている。

 今回のフランスでのテロに対しては、米国や英国など西側諸国だけでなく、アラブ諸国からも非難の声明が相次いでいる。国際社会は「テロには屈しない」という強いメッセージを発するとともに、格差や貧困の問題と真正面から向き合い、真のテロ防止に取り組むべきだ。