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  • 県内でヤギ料理の人気が上昇。押し上げているのは観光客や女性
  • 洋風メニューが考案され臭みを抑え食べやすくなったことが一因
  • 血圧上昇との関係が否定されたことで需要が供給を上回る状況に

 沖縄県内でヤギ料理の人気が高まっている。ヤギと言えば年配の男性、というのは今は昔。店をのぞけば、観光客や若い女性客でにぎわっている。需要に供給が追い付かず、ヤギ肉の価格は高騰。店は仕入れに頭を抱え、農家は生産性の向上に挑んでいる。沖縄ならではの食文化、今どきのヤギ事情を取材した。(学芸部・榮門琴音)

ヤギ料理をおいしそうに食べる観光客の女性=10日午後、那覇市牧志の「さかえ」

糸満市真栄平にある玉城やぎ料理店のヤギ汁(手前)とヤギの刺し身

ヤギ料理をおいしそうに食べる観光客の女性=10日午後、那覇市牧志の「さかえ」 糸満市真栄平にある玉城やぎ料理店のヤギ汁(手前)とヤギの刺し身

 午後4時、那覇市牧志のヤギ料理店「さかえ」。開店から1時間、東京、大阪、名古屋、地元の客で満席になっていた。恋人、同僚、友人と訪れた初対面の客たちが「ヤギは初めてなんです」などとヤギ談議に花を咲かせる。

 名古屋から来店した男性(48)は、初めてのヤギ刺しを口に「おいしい」と感嘆。泡盛の入ったグラスを片手に「向こうにはヤギがいないから食べられない。おいしいと聞いたので食べてみたかった」と満足そうだ。店主の生島なおみさんは切り盛りに大忙しで、書き込みで真っ黒になったカレンダーを指さし「これ全部予約よー」と話した。

 食べ方も変化している。那覇市安里の「ビストロ ル・ボン・グー」では、ヤギの生肉を薄切りにしてオリーブオイルやスパイスとあえた「ヤギのカルパッチョ」が女性客に人気だ。店主の山口慎一さんがメニューを考案したのは4、5年ほど前。県農林水産部から「ヤギの裾野を広げてほしい」と依頼があったという。

 「ヤギってこんな食べ方もできるんですよ。男性客はもっと臭い方がいいと思うかもしれませんが、観光客や女性客は入りやすいでしょう」と山口さん。確かに、やわらかくて臭みもなく、何よりおしゃれ。隣の女性客のグループは、ワイングラスを傾けながら、フォークでヤギ肉を食べていた。

 ヤギ料理の人気が高まった理由は何なのか。ウェブ制作会社勤務で、ヤギ料理の情報をブログで発信している前田昭宏さん(42)は、(1)ヤギ肉と血圧上昇の関係が否定されたこと(2)臭みが抑えられて食べやすくなったこと(3)おしゃれな料理が出てきたこと-を挙げる。

 実際、研究発表のあった2014年1月以降、ヤギ肉の価格は右肩上がり。前田さんのブログには「おすすめのヤギ料理店を教えてほしい」と県外からのメールがよく届くようになったという。

 前田さんは「ヤギ文化を盛り上げたいと思っていたので、食べる人が増えるのはうれしい。供給が追い付いてくれたら」と話した。