県内の雇用をめぐり課題となっているのが「質」の問題だ。劣悪な条件で労働者を酷使する「ブラック企業」の存在も指摘されているが、悪化する雇用の一端が、浮き彫りになった。

 宜野湾市にあるコールセンター(本社・東京)が、従業員33人全員に対し、一方的に事務所を閉鎖し、全員を解雇するとの通知を出し問題となっている。

 同コールセンターは、2012年5月に設立。採用時と異なる業務内容や労働条件の変更、残業代の未払いなどが相次ぎ、これまでに正社員約30人が退職。パート約450人が入れ替わったという。

 残った従業員らで労働組合を結成し、県労働委員会に斡旋(あっせん)を申請、労使交えた協議を行っている。組合側は一方的な解雇通知の撤回や、解雇するなら6カ月分の賃金補償-などを求めている。組合の委員長は「社員をモノのように捨てるのはおかしい。ブラック企業を許すわけにはいかない」と訴える。

 県は情報通信産業を中核産業と位置付け、IT企業の誘致に力を入れている。企業進出を促進するため、税制優遇措置のほか、35歳未満の求職者の新規雇用に対し賃金を助成する奨励金などの支援制度を設けている。

 問題となっているコールセンターの社長は「沖縄への進出は、低賃金と公的な助成金が目的だ」と、社内で公言していたという。

 県はまず、企業の実態調査に乗り出すとともに、助成金などが適切に使われているか問題点を洗い出し、対策を講じるべきだ。

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 県内の雇用状況は、有効求人倍率が本土復帰以降の最高値を6カ月連続で更新(昨年11月時点)するなど堅調に推移している。

 一方で、コールセンターや介護、看護、接客関係など一部業種では、人手不足が深刻化するミスマッチが起きている。県と沖縄労働局は昨年、人手不足が生じている業界団体などに労働条件の改善などを要請した。ミスマッチ解消には、雇用の「質」の向上が不可欠である。

 劣悪な環境で労働者を働かせる企業が、県内にも多いことを推測させる調査結果がある。沖縄労働局が13年9月、離職率の高さなどの情報を基に27事業所を抜き打ち調査した。その結果、長時間労働や残業代不払いなどの法令違反を指摘された事業所が21カ所あった。過労死のリスクが極めて高い月80時間超の時間外労働は5事業所、100時間超も3事業所あった。

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 県のまとめによると、14年1月1日現在、コールセンターは80社が立地。雇用人数は1万7404人で、IT企業全体の雇用人数の約7割を占めた。

 労働集約型のコールセンターなど派遣業務は、県内の求人数の伸びに貢献しているが、賃金の低さや非正規雇用の割合の高さなどがしばしば指摘される。

 求められるのは良質な雇用の確保である。労働行政は、各企業の労働環境をチェックし、雇用の質向上に取り組んでもらいたい。