2015年度沖縄振興予算が前年度比4・6%減の3340億円で閣議決定された。5年ぶりの減額で、概算要求からは450億円余りのマイナス査定である。

 「国の財政が厳しい」「未執行の予算が多い」が理由という。

 査定による減額はよくあることで、思ったより減っていないとの見方もあるが、防衛省の辺野古移設経費が倍増する中、さらには本年度沖縄予算が概算要求を上回る大盤振る舞いだったことを考え合わせると、政府の思惑が見え隠れする。普天間飛行場の辺野古移設を認めた仲井真弘多前知事と反対する翁長雄志知事を同様に扱うことはできないという政権のメッセージだ。

 しかし、その考え方には大きな疑問がある。

 政府が沖縄振興特別措置法に基づいて沖縄振興策を実施するのは(1)沖縄戦による戦禍と27年の米軍統治(2)広大な海域に多数の離島が点在(3)亜熱帯地域にある(4)国土の0・6%に基地の74%が集中-の四つの特殊事情からである。

 ここでいう基地は、あくまで既存基地を指しているのであって、新基地を含むものではない。

 以前、県議会事務局が基地が全て返還され、跡地利用が進んだ場合の経済効果を年間9155億円と試算したことがある。基地がなければ得られたであろう利益の大きさを示すものだ。

 沖縄振興予算を新基地建設の「踏み絵」にするのは、沖縄振興策の制度の趣旨を逸脱するものである。

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 沖縄への日本政府の財政援助が本格化するのは1960年代に入ってからだ。それまではガリオア援助などがほそぼそとあっただけである。

 復帰前の沖縄は「法の下の平等」をうたった憲法が適用されず、高度経済成長からも取り残され、国鉄の恩恵を受けることもなかった。

 本土との格差を是正しようと、国の責務として始まったのが沖縄振興計画である。 

 沖縄振興予算は各省庁にまたがるものを内閣府が一括計上する方式をとっている。そのためか予算総額だけが独り歩きし「沖縄は優遇されている」との誤った理解が広がる。実際は2012年の数値で県民1人当たりの国からの財政移転は全国6番目と突出して高いわけではない。

 誤解を解くためにも振興予算の性格や内容について、県は考えをまとめ、積極的に広報した方がいい。

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 来年度予算で減額の対象となったのは一括交付金である。使う側にとって自由度の高い交付金が、配分する側にとっても操作しやすいもろ刃の剣になってはいないか。

 まずはどこがどれだけ減額されたか、影響も含めきちんと検証してもらいたい。一括交付金については、使い道や執行率の改善も必要だ。

 予算をめぐっては、翁長知事が閣僚らに面会できない異様な状態が続いた。知事には何ら落ち度がなく萎縮する必要はない。関係閣僚が横並びで面談を拒否した政権側の大人げない対応に比べ、知事の方がはるかにまっとうで礼儀にかなっていた。