ポップスとバレエ界に将来が期待される沖縄県出身の若手が現れた。アマチュアミュージシャンの安次嶺希和子(16)=興南高1年、沖縄市=と、バレリーナの伊野波都(19)=宜野湾市出身、東京在住=だ。コンクールで優勝を果たした2人の意気込みを紹介する。(村井規儀)

ジャパンファイナルのステージに立つ安次嶺希和子。「悔いのない歌を歌えた」と振り返る=東京都江東区・Zeepダイバーシティ東京

「心と技を磨いていく」と意欲を見せる伊野波都=東京都世田谷区・「アトリエ・バレエ・スタジオ」

ジャパンファイナルのステージに立つ安次嶺希和子。「悔いのない歌を歌えた」と振り返る=東京都江東区・Zeepダイバーシティ東京 「心と技を磨いていく」と意欲を見せる伊野波都=東京都世田谷区・「アトリエ・バレエ・スタジオ」

■歌声、心に届けたい ミュージックレボ優勝 安次嶺希和子

 11日、東京のZeppダイバーシティ東京で行われた「第8回ミュージックレボリューション ジャパンファイナル」には、全国の予選を勝ち上がってきた14組のアーティストが出場。ロックにヒップホップ、チェロ演奏と幅広いジャンルで競う中、安次嶺希和子は自身が作詞作曲した「太陽の雫」を切なさを帯びた伸びのある声で披露した。

 14曲中、最も静かな曲に会場は水を打ったように静まり返り、耳を澄ませているのを感じる。歌の表現力が高く評価され、グランプリとオーディエンス賞をダブル受賞した。安次嶺は「大舞台に初めは気持ちがついてこなかった」と振り返るが、「観客一人一人に伝えたい」という目標にしっかり向き合うことで心を落ち着け、歌い切った。

 ピアノ伴奏を務めた中川歌菜は「声が純粋できれい。歌声そのものに引きつけるものを感じた」と安次嶺の魅力を語る。

 安次嶺が県予選を勝ち抜いた8月に音合わせを始め、11月の九州ファイナル、今月のジャパンファイナルとタッグを組み、互いに福岡と沖縄を往復して練習した。当初は弦楽器を主体としたストリングスや、豊かなピアノ演奏も考えていたという「太陽の雫」だが、2人で練習を重ねるにつれ、シンプルに歌声を優先するアレンジへと決まったという。

 「まだステージに慣れず、ライブもできるか不安」と安次嶺は話しつつも、「歌が自分を支えてくれたように、今度は自分の歌で人を支えていきたい。心に届けるような歌手になりたい」と将来の夢を語った。

◆音源無料配信 31日まで

 グランプリの安次嶺をはじめ、優秀賞の下田采(あや)(東京)、植田真衣(福岡)、Pur(大阪)、マイサウンド賞のDa.Vinci(東京)の音源は音楽配信サービス「MySound」で31日まで無料配信している。

■海外へ飛躍前向き NBAバレエシニア1位 伊野波都

 「海外バレエ団を視野に入れたのはつい最近。そこにスカラシップの話が来て、現実味を帯びてきた」と喜ぶのは、3~8日に東京都内で開かれたNBA全国バレエコンクールのシニア女子の部1位に輝いた伊野波都。併せてスカラシップ賞も獲得した。

 コンクール後に3件誘いが来ており、なかでもロシアのウランウデバレエ団の研修に心引かれている。芸術監督を日本人が務めており、若手育成にも力を入れているという。「早ければ3月にも」との誘いに伊野波の心は弾む。

 古典バレエの美しさに憧れて、小学1年生から環バレエアートスタジオ(比嘉環代表)で学んだ。「バレエを踊っていたい」気持ちだけで、具体的な将来像が定まらない伊野波に上京を勧めたのは比嘉だ。「環先生は『早いうちから経験を積むといい。切磋琢磨(せっさたくま)しておいで』と送り出してくれた」と当時を振り返る。高校3年生の夏に上京し、「アリスト・バレエ・スタジオ」(小笠原一真、高橋有里主宰)に入学した。

 アリスト・バレエでは技術だけではなく、見せ方も強く指導された。「ただ踊るのではなく、観客の存在や舞台に立つ意味などを絶えず意識しなさいと。どう見られているのか、どう見せたいのかを心掛けた」。その結果が同コンクールの昨年6位から1位へと大きな飛躍につながった。

 「自分が求めたレベルの踊りができなかったので1位入賞は驚いた」と少し複雑な表情を見せるが、一定の達成感はある。海外留学の経験がある小笠原と高橋の両師は、以前から海外を勧めており、スカラシップはまたとない機会だ。回転や跳躍が苦手で自分だけの武器がないと海外に躊躇(ちゅうちょ)していたが、前向きに踏み切る姿勢を見せた。

 「いつも節目には背中を押してくれる先生がいる。大舞台に立って恩返しをしたい」と感謝をにじませる。