【郷田まみ通信員】11月30日、ブエノスアイレス市のMAIPO劇場で夢海渡(むかいと)太鼓の公演「TABI-EL SUEÑO CONTINUA(旅~夢はつづく)」が行われた。活動20周年を記念する特別公演には、夏とは思えぬ寒風吹く雨天の下、多くの人が集い、750人収容の会場は、ほぼ満員となる盛況ぶりだった。

フィナーレで観客の拍手に応える約100人の出演者=ブエノスアイレス市・MAIPO劇場

 日本から夢と希望を胸に海を渡り、遠いアルゼンチンまでやってきた先祖たちの栄光と、同じく大海を渡って沖縄の創作太鼓を伝えた人の業績をたたえるとともに、20年という節目に、未来へ向けてのさらなる発展と伝統継承の重要性を再認識させるのが目的。

 1992年に奨学生として沖縄へと渡った比嘉モニカさんと当間クラウディアさんは沖縄の歴史とその独特な文化を目の当たりにした。そしてアルゼンチンに帰り、すっかり魅了された和太鼓をアルゼンチンでも広めようと活動を始めた。アルゼンチン夢海渡太鼓の初公演は、94年8月、アルゼンチン沖縄県人連合会で開催されたアルゼンチン沖縄移民85周年祭。北中城村が原点の夢海渡太鼓から寄付された太鼓が、沖縄移民85周年の祝宴を活気づけてから20年がたつ。

 今回の舞台には歴代の夢海渡太鼓メンバーが続々と登場し、熱い太鼓の音で観客を震撼(しんかん)させた。94年から97年の夢海渡太鼓の結成当時のメンバーは、北中城村でも着用されていた緑の衣装を身にまとい、ベテランの貫禄を見せた。ボルドー色の衣装をまとった現在のメンバーの隆々しい姿、力強い音色、威勢のある掛け声から、その団結力が伝わってきた。

 20周年公演のために、沖縄から太鼓ミュージシャンの知念秀人さんが招待された。幼少期に和太鼓の音に魅了され、沖縄の夢海渡太鼓に入団し、2005年にリーダーに就任した知念さんは、同時期に自身の太鼓グループ『打族』を結成。沖縄独自の太鼓のスタイルを、県内外に伝えるためにさまざまな場所を訪れ公演している。伝統的な太鼓のイメージを超え、現代的なスタイルを確立している。

 今回の舞台では俊敏でリズミカル、そして力強い音色と、美しい太鼓のパフォーマンスに、会場中が息をのんだ。

 最後の演目は知念さんを交えて演奏された盛大なもの。舞台を踏んだ全ての参加者が会場に向けてあいさつすると、会場からは大きな拍手と喝采が起こった。

 舞台上ではメンバーがお互いに抱き合いながら公演の成功と20周年というめでたい記念日をともに過ごせることを喜んでいた。