【久高泰子通信員】沖縄から船で運んだ20トンの琉球石灰岩を砕き、直径40センチほどの石塊で人間の顔の表情を彫った彫刻展「沖縄の石、千と一の頭(かしら)」を数年来、フランスの各地で開催している井上佑吉氏(71歳。福岡県出身。パリ西南郊外エランクール市在住)がフランス学士院芸術アカデミー賞最高であるグランプリ賞と並ぶ実力賞を、彫刻部門でこのほど授与された。

フランス学士院の講堂で実力賞を授与された井上佑吉さん=2014年11月19日

沖縄の石を使った作品展「千と一の頭」をフランス各地で開いた井上さん(中央)=2012年12月、パリ3区の建築家組織本部

浦添市美術館構内に設置されている父親への思いが込められた井上さんの作品(同美術館提供)

フランス学士院の講堂で実力賞を授与された井上佑吉さん=2014年11月19日 沖縄の石を使った作品展「千と一の頭」をフランス各地で開いた井上さん(中央)=2012年12月、パリ3区の建築家組織本部 浦添市美術館構内に設置されている父親への思いが込められた井上さんの作品(同美術館提供)

 沖縄の石に固執し、「千と一の頭」のシリーズの創作をしている芸術活動に対し、独特でユニーク、精神的で画期的な作品であり、野心的企画と評価された。1945年に沖縄で戦死した父の面影を求め、沖縄を魂の終着駅と決めた。2009年夏、再度来沖。2カ月半南城市に滞在し、高さ幅とも約2メートル、重さ7トンの作品「沖縄の石」を製作した。

 この作品は翌年、浦添美術館に設置された。雲のようにも、人の顔のようにも見える。「タイトルに縛られず作品を見てほしい」という井上さんの意思で、作品名は表示していない。

 さまざまな感情と記憶を持つ沖縄の石に魂を感じ、フランスに戻ると、沖縄の石を使用し、「千と一の頭」を創作するライフワークに取り組んだ。京都の三十三間堂の千一体の仏は見る人の主観によって、見失った誰かを想起するという。井上さんの彫った顔も誰かを思い起こす不思議な魅力がある。

 井上さんはこれまでもさまざまな賞を受賞し、2011年には日本人として最初の同アカデミー賞を受賞し、今回で2回目。

 「遠い沖縄から重い石を運ばせ、コツコツやった仕事が認められてうれしい。またこんな地味な僕の仕事を支えてくれた人々に感謝し、頑張っていきたい。この活動で、沖縄の宣伝ができたのもうれしい」と語った。