お年寄りの日常生活の自立を支援する介護職員が2025年度に全国で約30万人不足する恐れがあることが、厚生労働省の調査で分かった。

 25年といえば「団塊の世代」が75歳以上となり、介護需要が爆発的に増えるといわれる時代である。10年後の近い未来のことであり、担い手不足の問題は切実だ。

 調査によると介護職員は非常勤を含め、13年度時点で約177万人。25年度には約250万人が必要になるが、特別な対策を取らなかった場合、約220万人しか確保できない。

 人手不足は今でも深刻で、慢性化しつつある。原因ははっきりしている。低賃金と過重労働だ。

 介護労働安定センターが実施した13年度介護労働実態調査では、介護職員のひと月の平均賃金は約19万5千円。全産業の平均を約10万円も下回っている。県内はさらに低く約17万円。

 家庭の中で女性が担っていた仕事だったことが、賃金の低さにつながっているといわれる。最近、目立つのは「これでは生活できない」と結婚や子どもの誕生を機に辞めていく男性介護職員だ。

 平均勤続年数も約5年と短く、せっかく資格を取得したのに、体力的にも精神的にもきつい仕事内容から転職する人も後を絶たない。

 介護の世界に飛び込む若者は、「人の役に立ちたい」との高い志を胸に秘めている。 25年に向けて取り組まなければならないのは、やりがいを持続させる待遇改善と社会的評価の確立である。

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 介護保険サービスの公定価格である介護報酬の改定は、来年度予算編成の焦点でもあった。

 最終的に介護サービス事業者に支払われる介護報酬は2・27%引き下げで決着。急増する介護費用の抑制を目的に、9年ぶりのマイナス改定となった。

 「サービス低下につながる」と強く反発したのは、報酬引き下げで減収となる介護関係の団体だ。

 一方で、長く働き続けられる環境を整えようと介護職員の賃金アップに充てる処遇改善加算は拡大された。1人当たり月額1万2千円増である。

 専門職である介護職員の賃金増の道筋が示されたことは評価したい。ただし「仕事のわりに賃金が低い」という声を払拭(ふっしょく)できるほどの額ではない。さらには同じ介護施設で働く看護師や調理師などは加算の対象外で、労働環境を含め待遇改善がどこまで進むかは見えにくい。

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 加算による賃金アップが約束されたとはいえ、介護報酬引き下げとの両立を、どう図っていくのか。

 施設の経営が苦しくなれば、人を減らしたり、正社員から非正規社員へ転換するといった動きが出かねない。

 事業者自身の経営努力も問われるが、事業の悪化で働く人の処遇改善が停滞するようでは本末転倒だ。

 介護職員の待遇改善を第一に、サービスの質にも目を配り、介護報酬改定の影響を注視する必要がある。