最も身近な教育者であり、学校で一番頼りになるはずの学級担任から、児童がいじめに遭った。深く傷ついた幼い心の内を思うと、やりきれなさと憤りがこみ上げてくる。

 本島中部の公立小学校に勤務する40代の男性教諭が昨年4~10月までの間、担任として受け持つ男子児童に対し、問題行為を繰り返していたことが分かった。

 クラスメートの前で「宇宙人」と呼んだり、ボールペンで顔に落書きをしたりするなどしていた。児童の保護者によると、体をつねるなどの行為も日常的にあったという。

 児童は、血が出るまで体をかきむしるなどの自傷行為や嘔吐(おうと)、発熱がみられるようになり、11月から登校できない状態が続いている。

 問題発覚後、教諭は「軽率な行為だった。いたずらが過ぎた」と保護者と児童に謝罪した。自らの行為を「いたずら」と軽くとらえていたのであれば、人権意識の低さにあきれるばかりだ。教師としての資質が問われる。子どもの人権を踏みにじる「暴力」だと認識してもらいたい。

 保護者によると、児童は「学校が怖い、先生も怖い」と言い、現在も抑うつ症状があるという。児童の精神的なダメージが心配だ。専門家の助言を得て、周囲の大人が適切に対応する必要があるだろう。学校や教育行政も家族らと連携し、児童の心の回復に寄り添うよう配慮が求められる。

 学級担任によるいじめを目の当たりにした、他の子どもたちに対するケアも重要だ。

    ■    ■

 学校や地元教育委員会の対応にも疑問符が付く。

 いじめへの対処は、適切な初期対応こそが肝心だ。にもかかわらず、学校は、昨年10月に保護者の訴えで事態を把握した後も対応が後手に回った。保護者から保健室登校の要望を受けたものの応じなかった。カウンセリングの希望も、他の対象者がいることを理由に「緊急性がない」として面談を断ることがあった。

 地元の教委も、報告を受けながら教諭本人への直接的な指導や聞き取りはしていない。教諭は児童が登校できなくなった直後から「心身のバランスを崩した」として休職しており、教委は「全関係者への確認はできていない。まだいじめとは断定できない」との認識だ。

 学校も教委も事態を軽視していた節がある。保護者の訴えを矮小(わいしょう)化したり、教師間でかばい合うなどの学校特有の体質が、児童を不登校にまで追い込んだのではないか。

    ■    ■

 教師によるいじめは論外であり、いじめへの加担・容認も当然許されない。教育以前の問題である。

 教師が軽い気持ちで発した言葉や行為が子どもの心を傷つけたり、恐怖感を与えたりする場合があることも自覚してほしい。受け止め方には個人差がある。信頼する相手であればなお、ダメージが大きい。それこそ「悪意がなかった」では済まされない。

 教える側であっても、対等な人格として子どもと向き合う。こうした人権感覚を大事にしてもらいたい。