「イスラム国」とみられる過激派組織が、日本人の人質2人の殺害をインターネットの映像で警告した。刻一刻と過ぎていく時間と、無情に迫ってくる「72時間」の期限が気になり、心の落ち着かなさを感じる人も多かろう

▼安倍晋三首相が中東訪問中に、イスラム国対策として拠出を表明した2億ドルの支援額を、身代金として要求している

▼「卑劣なテロに屈しない」と、途方もない額の支払いに応じていいはずがないことは頭では分かる。人命の重みや、人質と親族のことを思えば、原理原則を貫けとの心も揺れる

▼手に持ったナイフを振りかざした黒装束の男の横で、オレンジ色の服を着た2人が後ろ手に座っていた。これまで5人の英米人を殺害した際に流された映像と重なり、いやが応にも胸をざわつかせる

▼政府は「人命第一に対応に当たる」という。安否情報はなく、「イスラム国」からの接触もない。解放に向け、どれだけ選択肢があるかも分からないが、日本がイスラム教徒の敵であるとの筋違いな主張を正す努力を、あらゆるルートで続けてほしい

▼どんな主義主張にせよ、繰り返し残虐行為に及ぶ側に、世界の人々の共感が得られる訳はない。数千キロ離れた異国の犯人に通じるとは思えないが、胸内で声を張り上げる人も多いに違いない。「蛮行は、もうよせ」と。(宮城栄作)