久米村出身者を中心にした大正期沖縄の漢詩結社「丞髦社(じょうぼうしゃ)」の漢詩集「惜別」が、所蔵者の富永進一さん(78)=東京都=から沖縄県立博物館・美術館に寄贈され、22日に記者発表された。琉球が明治政府によって滅ぼされた「琉球処分」の後、救国の嘆願を込めたとみられる作品もあり、同館では「明治、大正期の沖縄の漢詩集で唯一の現存物の可能性がある」と話している。

久米村出身者を中心にした大正期の漢詩結社「丞髦社」の漢詩集「惜別」

 漢詩集は縦27・8センチ、横19・8センチ、計16ページ。久米村出身の陳氏(ちんうじ)・幸喜栄光や毛氏(もううじ)の門中会初代会長を務めた桑江章鉅、久米崇聖会の5代目理事である林氏(りんうじ)・名嘉山大昌らの漢詩を収録。福建省出身の文化人、高相杰(こうしょうけつ)の添削が記されている。

 関係者によると明治、大正の沖縄では漢詩の新聞投稿が盛んで、琉球救国のため中国に渡った経験もある幸喜が漢詩文の勉強会を開き、文人である高の指導を受けていた。当時の漢詩結社でも久米村のグループは珍しく、沖縄戦で焼失したため資料は貴重という。