2009年の民主党政権下で米軍普天間飛行場の移設候補地になり、地元の反対などで立ち消えになった鹿児島県・馬毛島が、在沖米軍の訓練移転先の候補地として再び注目を集めている。翁長雄志知事が18日に視察、その直後には一部報道で政府がオスプレイの馬毛島への訓練移転を検討しているとの情報が流れるなど、憶測(おくそく)が飛び交う。だが、「馬毛島案」には国、県双方が否定的だ。

馬毛島

 「えっ、うそでしょ」。20日朝、政府が訓練移転検討の報に触れた県幹部は、驚きを隠さなかった。

 翁長知事が18日に馬毛島を訪問したのは、「辺野古が唯一」という政府見解への見直しを迫り、全国に安全保障の応分負担を分かち合う必要性を訴えるためだった。県幹部の一人は「訓練の移転が実現するとは思っていない」と本音を明かす。

 だが、訓練移転の報道が出たことに、県関係者は、馬毛島への訓練移転に実現性を帯びれば「安倍政権は全国に向けて沖縄の負担軽減に努力している」との姿勢を示すことができるためでは、と推測する。

 菅義偉官房長官は20日の会見でオスプレイ訓練の馬毛島移転について「現時点で馬毛島が有望な訓練移転先になるということは考えていない」と否定した。複数の防衛幹部も、鳩山由紀夫元首相が普天間の移設先として検討し断念した経緯を挙げ難色を示した。

 防衛省は、自衛隊施設の整備や空母艦載機の着陸訓練(FCLP)の候補地として馬毛島の土地所有者と交渉を重ねているが、用地買収交渉などで難航している。さらに、地元である鹿児島県知事が10日に投開票された選挙で新人に代わったため、理解を得るため慎重にならざるを得ない。

 防衛省関係者は「滑走路の整備ができれば、オスプレイの訓練移転の候補地としては完全に否定しない」とする。しかし、普天間飛行場の5年以内の運用停止のためには「辺野古移設が遅れているのに、米側に別の訓練先として馬毛島を挙げて交渉することは難しい」と否定した。

 別の関係者は、普天間を飛び立ち、馬毛島で訓練して普天間に戻る案についても「訓練時間が制約されるか、夜間に沖縄に戻ることになる。それでもメリットがあるかを考えなければならない」と指摘した。(政経部・大野亨恭、東京報道部・上地一姫)