多くの客がダンスや飲食を楽しんでいた米フロリダ州オーランドのナイトクラブが流血の修羅場となった。

 12日未明、男が乱入し自動小銃などを乱射。49人が死亡、53人が負傷した。米国史上、最悪の銃犯罪となった。

 男は客らを人質にとり、立てこもったが、警察が突入し、銃撃戦の末に射殺された。

 何の罪もない人たちに、ひたすら銃を撃ち続け、殺傷するという卑劣極まりない蛮行である。断じて許すことはできない。

 捜査当局によると、男は犯行前後に、警察に過激派組織「イスラム国」(IS)への忠誠を誓う電話をしていたという。男は米国籍でアフガニスタン出身の両親を持つ。IS系のニュースサイトは「ISの戦士が実行した」と犯行声明を出したが、ISとの間に指示や支援など接点があった形跡はない。

 クラブは同性愛者が集う場所であることから、性的少数者(LGBT)に対する憎悪犯罪の要素があるのではないかとの見方も出ている。

 捜査当局は男を少なくとも過去2回聴取していたが、テロ組織との関連は薄いとして捜査を終結している。動機や背後関係など真相解明に全力を挙げてもらいたい。

 事件を受けた声明で、オバマ大統領は「テロ行為であり、ヘイト(憎悪)行為だ」と強く非難した。「われわれは恐怖に屈したり、互いを憎み合ったりはしない」と連帯を呼び掛けたが、容易に手に入れることができる銃と虐殺が結びついた事件であることを認識しなければならない。米国は、実効性のある銃規制をする時に来ている。

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 米国では毎年約3万人が銃で命を落とし乱射事件が起きる度に銃規制の声が上がる。

 それでも銃を手放すことができないのは「自分の身は自分で守る」との西部開拓時代からの伝統があり、米合衆国憲法修正第2条にも「国民が武器を保有し携行する権利は侵してはならない」と規定しているからだ。

 オバマ大統領は銃規制を進めようとしたが、議会で多数を占める野党共和党の保守派や、保守派に影響力のある有力ロビー団体「全米ライフル協会」(NRA)によって頓挫させられた経緯がある。

 このため今年1月、大統領権限に基づき、議会承認を必要としない新たな銃規制強化策を発表した。

 インターネットなど通じて銃を販売する業者らにも営業許可を義務づけ、銃購入者の身元の調査を大幅に拡大する内容だったが、男は最近、合法的に銃を購入していたとされ、効果に疑問符が付く。

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 銃乱射事件は進行中の大統領選にも影響を与えそうだ。

 民主党候補の指名を確実にしたクリントン前国務長官は銃規制の必要性を訴え、共和党候補の指名が確定したトランプ氏は銃保持の権利を擁護する。立場の違いは鮮明だ。

 オバマ大統領は乱射事件を「大虐殺」と表現し、「人々を銃撃する武器をいかに容易に手にできるか。そういう国でありたいのか決めなければならない」と問いかけた。大統領選の争点にすべきだ。