「子どもとの時間を長く持てた」「人生を見つめ直す機会になった」。沖縄タイムスが1月に実施したアンケートでは、制度を取得した労働者から前向きな回答が出てきた一方、「育休を取りたいと言い出せない」「制度が充実していれば出生率は上がるかもしれない」の声も。そもそも、なぜ育休が取りにくいのか。(デジタル部・與那覇里子)

就業規則の作成状況

■事業主は拒めず

 育休は、1992年4月1日に育児・介護休業法が施行され、導入が義務化されたが、中小企業でなかなか進まない。もちろん、導入されていなくても国の制度が利用でき、事業主は申し出を拒むことはできない。

 従業員10人以上の事業所では、労働基準法で就業規則を作る義務があり、作成していない場合は違法だ。規則には育児、介護、有休などの「休暇」についての記載が必須だが、2014年度の沖縄県の調査では、従業員10~29人の事業所の11・4%が作成していなかった。

 一方で10人未満の事業所は、そもそも就業規則を作る義務がない。就業規則がないため、育休も明文化してない。

 罰則はないため、労働局は指導、県も普及、啓発にとどまる。

 県商工労働部労働政策課の安座間孝之班長は「育休制度はあるが、生かされていないのが実態。労働条件を通知していない企業すらある」と指摘する。

 育休を取得するためには、どうしたらいいのか。県の安座間班長は、労働者が自分の権利を知ること、社会保険労務士などから適切なアドバイスをもらうことを挙げた。沖縄労働局雇用均等室の松野市子室長も「関係機関に相談してほしい」と呼び掛ける。

■周囲の理解鍵に

 非正規雇用も条件が整えば、育休を取得できる。(1)入社1年以上(2)子どもが1歳になっても雇用が続く予定(3)子どもが2歳になる前々日までに契約が満了し、更新されないことが明らかでないこと-。これらを全て満たせば、取得することが可能だ。事業主が知らない可能性もあり、周囲の理解が利用への鍵となる。

■人材確保二極化

 厚生労働省は仕事と子育ての両立に熱心な企業に次世代認証マーク「くるみん」を認定している。2015年12月末時点で県内企業は16社。さらに熱心な「プラチナくるみん」は2社で、東京、長野に次いで多い。沖縄労働局の松野室長は「沖縄では、ここ1年で7社も認定され、熱心に取り組み始めている」と説明する。

 今後、労働力不足が進むため、企業側は、いい人材を確保しようと育休や介護休暇などの制度を整えて求人広告でアピールを始めている。

 沖縄国際大学経済学部の名嘉座元一教授は「導入できる企業はいい人材が残り、できない企業は非正規の出入りが多く、ノウハウが残りにくくなっていく」と、人材確保の“二極化”を指摘した。