県の調査によると、2013年度県内男性の育児休業取得率は2・8%。同年、厚生労働省が調査した全国男性の平均取得率2・03%と比べて0・77ポイント高いが、平均取得率約90%前後の女性(県内)と比べるとまだまだ低いのが現状。給与が満額もらえない経済的問題のほか、制度があっても育休に対する職場での理解が深まらないことが課題となっている。(学芸部・豊田善史)

休日に砂遊びをする山里卓さんと娘の夏凜ちゃん=豊見城市の美らSUNビーチ(提供)

育児休業取得状況

休日に砂遊びをする山里卓さんと娘の夏凜ちゃん=豊見城市の美らSUNビーチ(提供) 育児休業取得状況

 沖縄タイムスが行ったアンケートでは「妻の大変さが理解できた」「今後、自身や家族にとっても良い影響を与えると確信している」などの回答があったが「同僚に遠慮して休めなかった」「育休制度があっても、経済的に余裕のある人しか取得できない」「イクメン、イクボスなどの言葉は広がっているが、現実はほとんど取れていない」「義務化が必要」など、男性の育休に対する理解が進んでいない現状が浮き彫りとなった。

 那覇市に住む山里卓さん(48)は12年、長女が生まれた半年後に育休を2カ月間近く取得した。

 山里さんが働く金秀商事・タウンプラザかねひででは、男性社員で初めての育休取得者だったという。

 山里さんは「育休を取りたいと上司に相談した時『本当に』と驚いた様子だったが、同僚と共に応援してくれた」と話す。

 育休中には、資格取得の勉強をする予定だったが「子育ては思った以上に大変だった。泣きだしたら止まらず、抱っこして室内をぐるぐる歩き回っていた。託児所も利用していたが、今思えば仕事より育児の方が大変だったかも」と振り返る。

 男性が育休を取るには「職場の環境次第では」と山里さん。「普段から上司や社員が会話しやすい雰囲気だと相談がしやすい」と指摘。「子どもの成長を間近で見られることは素晴らしかった。『よく泣いて大変だったよ』と思い出話もできる」と笑顔で語る。

 一方、「20~30代は覚える仕事も多い状況で仕事が優先になりがちだ。上司に言いづらいかもしれない」とも。実際に山里さん以降、育休をとった男性社員はいないという。

 また、給与の67%が支給される育児休業給付金はあったが「生活は厳しかった。貯金を崩したり節約したりして生活費に充てた。男性が育休を取ることは現実的に厳しいかも」と経済的問題を実感した。

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 育児参加の啓発活動をするNPO法人ファザーリング・ジャパン(東京)代表理事の安藤哲也さんは「育休が進まないのは、経済的な問題より、上司の評価や相談しにくい環境が一番の理由だ」と指摘する。

 15年に実施した調査では、育休を取らず有休で育児や妻のサポートをする「隠れ育休」を取得した男性が46%、うち7割が3日以内の取得だったという。

 「社員は上司からの声掛けを求めている。すべての企業ができるわけではないが、育休を取らなければならない仕組みをつくる必要がある」と強調した。