2015年に日本写真協会新人賞と木村伊兵衛賞を受賞した沖縄県出身の写真家、石川竜一さんの写真集『adrenamix』発売を記念したトークイベントが2015年11月28日、那覇市のジュンク堂書店那覇店で開かれた。石川さんをテーマに番組を制作した琉球放送の與那嶺啓アナウンサーが聞き手を務め、石川さんの多彩なエピソードを引き出した。トークのほぼ全文を書き起こし、再現する。

石川竜一さん

番組「ムーブ」を見ながらトークが進む

「adrenamix」の購入はこちら

石川竜一さん

琉球放送の與那嶺啓さん

作品を見ながらトークが進む

ファンの方が多く集まった

トークは多伎にわたった

サインをする石川さん

石川さんの友人が質問

作品を見ながらトーク

石川竜一さん 番組「ムーブ」を見ながらトークが進む 「adrenamix」の購入はこちら 石川竜一さん 琉球放送の與那嶺啓さん 作品を見ながらトークが進む ファンの方が多く集まった トークは多伎にわたった サインをする石川さん 石川さんの友人が質問 作品を見ながらトーク

【與那嶺】本日は石川竜一写真集第3弾、赤々舎「adrenamix」発売記念石川竜一トーク&サイン会にお越しいただいて誠にありがとうございます。本日聞き手としてこのイベントのお手伝いをさせていただきます、琉球放送アナウンサーの與那嶺啓と申します。よろしくお願い致します。

 今準備をしている石川さんに代わって、私と石川さんの出会いの経緯をお話ししたいなと思うんですけれども。昨年(2014年)末ですかね、今年の新春インタビューというものをRBC(琉球放送)の夕方のニュース番組でやっておりまして、その年の注目のウチナーンチュをキャスター陣がインタビューして、年明けの最初の1週間で1人ずつ紹介していくというコーナーがありました。

 その中で昨年末私が、お前もやってみないかとディレクターから声をかけられて探していた時に、ネットで話題になっている写真家がどうやらウチナーンチュで宜野湾市出身らしいぞということになりまして、作品を見ていきますととても胸を打たれるものがたくさんあったんですね。僕は写真を撮ることというのは普段しませんし、写真について詳しいかと言われたら全くそうではないんですけども、日ごろ目にしてきた風景だったり、目にしてきた風景だけど目をつぶってしまいたくなるような風景だったりっていうものがそこには写っていて、ぜひこの人と話してみたいなと、アポイントメントを取ってインタビューをさせていただくという経緯になったわけです。

 その中では「木村伊兵衛賞を獲るかもしれないと言われている写真家の方です」と紹介したんですが、その後実際に賞を受賞されまして、これは大変なことだと、今度は30分間のドキュメンタリー番組を出してみようということで、私それまで6分間の映像しか作ったことがなかったんですけど、企画書を書いてお願いをして、どうにかその企画が通りまして、今年の9月13日に沖縄のみならず九州全域に放送されました「九州沖縄ドキュメント ムーブ」という番組で石川さんを紹介することができました。

 沖縄県のみならず、深夜の放送だったんですけれども九州の方々にも石川さんの存在を知らせることができたと思っております。昨年末から考えますと、もう8カ月間くらいですかね。ずっと密着ってわけではないですけど、何かがある度に石川さんのお家まで押しかけたり、時には打ち上げまでカメラを入れて撮らせてもらったり。そういったあたりもありますので、ぜひ今回はそのドキュメンタリー映像も交えて、石川さんに写真に対する思いであったり、そして近況報告であったり、また今回は第3弾写真集「adrenamix」の発売記念でもありますから、内容についても話していただきたいなと思っております」

【司会】みなさん大変長らくお待たせしました。今回は赤々舎より発売いたしました「adrenamix」発売記念といたしまして、石川竜一さん、そしてRBCアナウンサーの與那嶺 啓さんをお迎えいたしましてトーク&サイン会を行わせていただきます。簡単ではございますが、私の方から石川竜一さんの紹介をさせていただきます。1984年生まれ、2006年沖縄国際大学社会文化学科卒業、大学在学中に写真と出合い、2008年に前衛舞踏家しば正龍さん、そして2010年に写真家勇崎哲史さんに師事され、2011年東松照明デジタル写真ワークショップに参加、2012年「沖縄本土復帰40周年写真展OKINAWA 0 POINT」に参加、そして「okinawan portraits」で第35回キャノン写真新世紀佳作を受賞、そして先ほどお話がございましたが、「okinawanportraits2010-2012」そして「絶景のポリフォニー」を赤々舎より2冊同時刊行されまして、‘15年第40回木村伊兵衛賞受賞、そして日本写真協会新人賞を受賞されていらっしゃいます、石川竜一さんです。みなさま大きな拍手をお願いいたします。

【與那嶺】それでは、みなさん待ち望んでらっしゃると思うので、石川さんから一言ごあいさつをちょうだいしたいなと思います。

【石川】石川竜一です。本日はよろしくお願いします。今日は與那嶺さんが作ってくれた番組の映像を見ていただきながら話します。どんどん聞いてください。

【與那嶺】それでは早速、映像をご覧いただきましょう。―9月13日放送「九州沖縄ドキュメント ムーブ」を視聴(省略)。

【與那嶺】去る9月13日に放送されました「ムーブ」を見ていただきました。改めて自分が映っているのをご覧になって、どうでした?

【石川】あの、見ていただいてる間もチラチラ言ってましたけど、僕はこんなにいい感じの人間ではないし、元気です! 落ち込んでません!

【與那嶺】アハハ。僕もそこ、いろんな人に突っ込まれました。もうちょっと踏み込んだ方が良かったかなと。丁寧に作りすぎたと思いました。映像の中で、自暴自棄に陥っていた頃のお話が出てきて、そこをもうちょっと深く聞いた方がいいんじゃないかと気になったんですけど。最後のインタビューでは苦しいとか辛いとかいう言葉を使ってましたが、実際のところ、そういう気持ちはあったんですか?

【石川】そうですね、ありましたね、結構。もう終わり~、みたいな。

【與那嶺】そこを誰かに向けるとか、苦しみのはけ口とか、そういうのは見つからなかったんですか? カメラに出合う前に。

【石川】うーん。そういう気持ちの人って、周りは初めは一緒にいてあげてもいいかなと思うかもしれないけど、どんなに何かを言ってもずっと「ダメ、ダメ」みたいな感じで、後はやっぱり相手にされなくなるじゃないですか。

【與那嶺】自分から拒絶しますよね、世の中を、周りを。

【石川】そうそう。そういうつもりはなかったつもりなんですけど、でもやっぱりそうだと言われればそうだし、そんなやつと一緒にいてもどうしようもないかな、という感じだと思うんですけどね。僕だったらそうかな。そのままどんどん、ショボーンってちっちゃくなっていく感じ。

【與那嶺】ちっちゃくなってた時に、気持ちはそれこそ「もう嫌だー」「もう終わりー」と思ってた時に、カメラに出合ったんですか?

【石川】はい。そうですね。もうなんか本当に、「ダメだー」「終わってんなー」「下らんなー」とかなってて、そういうのが1年ちょっとか2年か続いた時に、こんなことしてても仕方ないなという感じになって。

【與那嶺】どん底みたいな時にカメラに出合ったんですか?

【石川】そうそう。悩んでて、でもこんなことしてても何にもならないなっていうか。待ってても世界は終わらないし、みたいな。そんな中でもやっぱり何かやらないといけないというか、最終的には自分を自分で肯定していかないといけない、そうじゃないと生きていられないと。どんなに周りがクソでも。よくなる可能性というか、そういう自分とか何かを肯定していかないといけないという感じになってきたんですよね。言葉でいえば。何かやろうと思って、それで楽器触ってみたりとかしてるうちに外に散歩に行くようになったりして。そしたらさっき映像に出てきた、リサイクルショップでカメラに出合って。