先日、「ニート、沖縄が全国最高率」という記事が新聞に掲載されたが、2014年度の数値結果でいえば、県内の中卒進路未決定率が2.5%(全国平均0.7%)、高卒進路未決定率が12.1%(全国平均4.4%)といずれも全国平均の約3倍である。ニートとは15歳〜34歳の若者で「就学」「就労」「職業訓練」のいずれも行っていない状態を指す用語であり、ニートの中にはひきこもりの若者も含まれている。ひきこもりは内閣府の調査によると全国に約69万人いるといわれており、ニートが多い県内ではひきこもりの若者も多く存在していると推測できるが、詳細な調査がないため実数は不明である。

若年無業者(ニート)の数の推移(沖縄タイムス提供)

中学・高校の卒業後の進路未決定率(沖縄タイムス提供)

若年無業者(ニート)の数の推移(沖縄タイムス提供) 中学・高校の卒業後の進路未決定率(沖縄タイムス提供)

 さらに、厚生労働省の「ひきこもり対応ガイドライン」によると、ひきこもりの若者が小中学校で不登校を経験した率は61.4%とある。この数字は、ひきこもりの若者100人のうち61人が義務教育課程で生きづらさのサインを不登校という形で表しており、早期対応すればひきこもりを予防できたかもしれない数字なのだ。このことからも、不登校とその後のひきこもりやニートの状態については密接に関係があると推測されるが、それでは実際に「働けない」状態に陥った若者の問題を、我々はどのように捉えたら良いのだろうか??

 私が相談を受けたケースで考えてみる。Aさん(30歳)。中学から不登校となり、先生に進学を勧められ高校へ進学はしたが、クラスに馴染めず高校を中退、後にひきこもりとなる。親も働くように促すが、本人は外出することも厳しいため部屋にこもり、家庭内での会話も徐々に減っていく。親はどうにかしようと医療や福祉の窓口へ相談に行くが、まずは本人を窓口に連れて来るよう指導される。Aさんはそもそも外出できず、相談機関に連れて行けないとわかっている家族は絶望してしまい、Aさんは「ひきこもり」状態のまま10年の歳月が流れ、ようやく私と出会ったのである。

 そこから家庭訪問を始め、Aさんと会えるようになるまで半年、外出するまでに更に半年の時間が経過した。その後はコミュニケーションの練習や、同じ悩みを持つ仲間との活動を経て、35歳でようやく就職する。Aさんは10年間ひきこもりで社会経験も乏しかったため、私が訪問を始めてから就労するまで5年の期間を要したが、これは私が受けてきた相談の一般的なケースである。

 支援現場でいつも感じることは、もしAさんの「不登校」という生きづらさのサインを放置せず、中学の頃に会えていたら、その後の社会参加までに、これほどの長い時間とコストをかけずにすんだのではないかということだ。中学校は高校へ進学させることに精一杯で、その後のAさんの人生に介入することは難しい。また、学校では先生たちが日々多くの子どもと向き合い、オーバーワークしながら奮闘しているため、Aさんへのデリケートな対応まで手が回らない。これは決して学校現場の責任ではなく、Aさんのような方にアプローチできる仕組みやサービスが極めて少ないことに問題があるのではないだろうか。

 私は若者問題に23年関わっているが、活動しながら「そもそも若者問題とは何だろうか?」の問いを持っている。例えば「障がい者」や「高齢者」の問題に対して、国や自治体は制度や窓口を設置し、ニーズに応じたサービスが提供されているが、それでは「若者問題」を相談できる窓口はどこにあるのだろうか?