「お墓に来るなという先祖はいない」―。「神に仕える身」として活動する渡久地十美子さんは言います。著書『祭祀(さいし)のウソ・ホント』(新星出版)の刊行記念トークイベントが9月20日、ジュンク堂書店那覇店であり、本物の「ユタ」(琉球列島のシャーマン)の見分け方や正しい拝みについてアドバイスしたほか、自身がカミンチュ(神人)に選ばれた経緯や苦労を語りました。会場には中高年の女性を中心に150人を超える人が詰め掛け、関心の高さを示していました。イベントの採録は次の通りです。

「神に仕える身」として活動する渡久地十美子さん

『祭祀のウソ・ホント-あなたの拝みは大丈夫?』ご購入はこちらから

イベントは立ち見が出るほど大勢の人々が訪れ、渡久地さんのお話に聞き入った

「マブイグミ」について語る渡久地さん

トークイベント後、サインに応じる渡久地さん

「神に仕える身」として活動する渡久地十美子さん 『祭祀のウソ・ホント-あなたの拝みは大丈夫?』ご購入はこちらから イベントは立ち見が出るほど大勢の人々が訪れ、渡久地さんのお話に聞き入った 「マブイグミ」について語る渡久地さん トークイベント後、サインに応じる渡久地さん
 ※おことわり 沖縄タイムス+プラスは、いわゆる「カミンチュ」や「ユタ」などに対して肯定的立場も否定的立場も取るものではありません。記事中の固有名詞や地名、個別の事例などプライバシー保護の観点から割愛した部分があります。また、渡久地さんのお話を一言一句正確に再現したものではありませんので、ご了承ください。

【司会】 沖縄県今帰仁村生まれ。お告げに従い、1980年頃より神に仕える身となり、沖縄を中心に国内海外を問わずにマブイグミやヌジファ(神や霊の救い上げ)を行っていらっしゃいます。著書に『ニライカナイの風』『ほんとうの琉球の歴史』『尚円王妃・宇喜也嘉の謎』『祭祀のウソ・ホント』がございます。渡久地十美子さんです。

■本当はユタ嫌い

【渡久地】 いつも緊張していますけど、今日は特別緊張しています。よろしくお願いします。みなさん初めてのかたも、いっぱいおられるようです。初めて私に会った人はいつも「ええー、普通のおばさんだったの?」と驚かれます。「講演に行ったら普通のおばさんでした」とブログにも書かれたりしますが、本当に普通のおばさんです。(著書の)『祭祀のウソ・ホント』も、6月の末頃に発売しました。みなさんよく買われて読まれているようですが、ありがとうございます。

 私はカミンチュ(神人)として、カミンチュと言ったらなんか大げさかもしれませんけど、私はユタ嫌いなのですよ。私、ユタにしたたか、もうあっちこっち引っ張られて…。もう、何が良くなったかと言ったら何も良くならない。ただ貧乏しただけで。それで本当にユタ嫌いになって。もうお金もない、体も具合悪いし、「もう自分でやらないといかん」と思って自分でやりだした。

 自分の先祖をやって。「やってよかった、もうこれで終わり」って。ちょっと体も軽くなりましたから、楽になりましたのでね。「はー、これで終わり」と思ったら、終わりの始まりなんですよ。今度は生きている人間から「ワッターウヤフジ(私達の先祖)してちょうだい」って、これがもう何十年続いて、ぜーったい卒業できないです。沖縄の人たちだけじゃなくて、全国です。

 今月も1日から九州に行きます。あまりにも人に追っかけられるものですから、ちょっと温泉に入りながら逃げたつもりでいるんですよ。もちろん、向こうにもお客さんがいるものですから。鹿児島、熊本、福岡と、たくさん(依頼が)来るものですから。「ならん、ならん」って、また沖縄に逃げてきて。もうずっとこれの繰り返し。そして、沖縄に帰ってきたと思ったら「九州に行ったんでしょ? どうして大阪まで足を伸ばさなかったの」「どうして京都まで来てくれなかったの」って言われるんです。また来月は東京に行くんですけどね。

■本を書くきっかけ

 それで、もう、話したいことはいっぱいあるんですけね。霊能者というのは、アマクマ(あっちこっち)行ってはいけないんですよ。というのは、(霊能者である)自分たちが歩いたら、この辺の浮かばれてない霊や神が「私のことを分かってちょうだい」「私のこと分かってくれるかな」って、みんな信号を送ろうか送らないかと待っているんですよ。ちょっと近づいたら、すぐ引っ付かれるんですよ。そしたら、もうダレるんですね、頭痛い、具合悪いと。磁石に金属製の物が近づいたら、パッと引っ付きますよね、そういう具合です。

 あんまり、ウガンジュ(拝所)もあちこち行きたくないし、行けないんですよ。アマクマ、ウガンジュ周り、お寺回りするユタたち、あれは何にも引っかからないから、どんどん歩くんですよ。そういうことですので、あまり、どんどん歩くユタは頼まない方がいいですよ。

 別に私は本を出そうと思ってウガンチュ(拝む人)しているわけじゃないです。(著書の)「ニライカナイの風」を書いたのは、自分が健康になろうと思ったから。また、息子もそういう体質で、私がしないと息子が大変なことになると思って始めたんです。終わりにするつもりで始めたんですよ。で、そうこうしているうちに全国を回るようになって。

 本を書くきっかけはみんな人でした。これ(『祭祀のウソ・ホント』)も、ユタにお金500万かけたとか1000万かけたとか、巷でよく聞くんですけどね。私は、いくらお金かけたからといって、ちゃんと戦争で沈んだ人が浮かばれて成仏して、うつの人はちゃんと治って健康になるのでしたら、私財は使ったかもしれないけれど、よかったね、綺麗にできてますよって言うんですけど。そういうケースが1件もありませんでした今まで。それにワジワジーして(怒って)この本を書きました。