町には本屋さんが必要です会議

 2014年10月。那覇市の桜坂で「町本会」(まちほんかい)というイベントが行われた。正式には「町には本屋さんが必要です会議」という。
 主催・発起人は、東京にある「往来堂書店」の店長である笈入健志さん、出版社「夏葉社」の島田潤一郎さん、編集者でライターの空犬太郎さんの3人が1年かけて全国を回り、本屋について各地の人たちと語った。町本会がどんな理由で生まれたのか、本屋ではいま何が起こっていて、出版社や読者もふくめてなにを目指していくのか。『本屋会議』(夏葉社刊)という本に、町本会のレポートと論考がまとめられている。ぜったいに読むべき本である。この文章を読んでいるみなさまもぜひお買い求めください。
 町本会は沖縄にも巡回してくることになっていて、わたしも少しだけお手伝いした。本屋さんが必要です会議なら、ぜひ本屋さんに来てほしい。沖縄側の事務方を務めて出演もされた「市場の古本屋ウララ」の宇田さんと相談して、本屋さんにも参加を呼びかけた。
 それに応じて、書店員さんが何名も来てくださった。本屋としての思いをたくさん聞いた。

『本屋会議』(左)と、関連する『本屋図鑑』(いずれも夏葉社刊)。各地の町の本屋さんが取り上げられており、そのなかにはもちろん沖縄県内の本屋も

ブックスおおみね

金武文化堂

『本屋会議』(左)と、関連する『本屋図鑑』(いずれも夏葉社刊)。各地の町の本屋さんが取り上げられており、そのなかにはもちろん沖縄県内の本屋も ブックスおおみね 金武文化堂

栄町の本屋で本を注文する

 町本会が終わってからしばらくは、「町の本屋さん」にばかり行っていた。
 そのうちのひとつが、「ブックスおおみね」だ。
 那覇市の栄町にある。目の前にある飲み屋から酔客のにぎわいが聞こえ、歩道に面している平台を蛍光灯が照らす。昼間になると隣の小学校からは子供たちの声が聞こえてきて、レジ横には付録のぎっしり挟み込まれたコミックが山積みだ。沖縄本もしっかり置かれていて、ボーダーインクにも「こういう本を探しています」というお尋ねの電話もよくかけてこられる。
 おおみねは、小さいけどにぎやかだ。
 とても久しぶりに本を注文する。久しぶりとは、おおみねで注文するのがではなく、本屋で本を取り寄せるのが、だ。その前はいつだったか思い出せない。わたしはネット通販はぜんぜん使わないのに欲しい本はすぐ手に入っていたのだから、知らないうちに便利な世の中を生きていたんだな、と気づく。
 本のタイトルと出版社名、13ケタのISBNコードを書いたメモを手渡す。受け取った男性店員は、在庫があるか確認しますと言ったのちに、「あったとしても、届くのに2週間くらいかかるんですよ。大丈夫ですか」と申し訳なさそうに付け足した。大丈夫です、と答えてちょっとなにかが引っかかった。「いつになっても構いません」と、携帯の番号をメモに加えた。
 本や雑誌の入荷がよその地域より遅いということが、沖縄ではしばしばある。新聞を見ていて「全国一斉、人気作家の最新作が発売」「書店オープン前から行列」という共同通信の記事があれば、だいたい「沖縄での発売は遅れている。入荷未定」とオマケ記事がつけられている。ファンや熱心な読書家たちには叱られそうだが、「全国一斉」から毎度取りこぼされる、そのことがすこし愉快な気もする。(書店さんは本当に大変だろうから、あまり大きな声ではいえないけど)
 沖縄と本との関係は、いつでもすこし特殊だ。