Google(グーグル)が開発した現実世界の陣取りゲーム「Ingress(イングレス)」。2012年11月にスマートホン向けの無料アプリとしてサービス(http://goo.gl/zUUlt5)が始まり、世界中でユーザーをとりこにしている。14年12月時点で、全世界のインストール数は800万を超え、約5万人のプレーヤーがいる。日本は世界で3番目に多いプレーヤー数を誇り、沖縄でも、じわじわとユーザーが増えている。沖縄では今年に入り、イングレスに特化したラジオ番組が開始され、イングレスをモチーフにしたぜんざいも登場した。沖縄のイングレス事情を全3回にわたって紹介する。
 1回目は、現実世界の陣取りゲーム「Ingress(イングレス)」を開発したGoogle(グーグル)社内スタートアップ「Niantic Labs(ナイアンティック ラブズ)」の川島優志さんへの単独インタビュー。沖縄のイングレス事情などを聞いた。(聞き手・與那覇里子)

イングレスの表示画面。緑と青の陣営に分かれて、リアルな「陣取り合戦」を繰り広げる

沖縄市泡瀬の「米八(こめはち)そば」のイングレスぜんざい

イングレスの表示画面。緑と青の陣営に分かれて、リアルな「陣取り合戦」を繰り広げる 沖縄市泡瀬の「米八(こめはち)そば」のイングレスぜんざい

 ―沖縄のイングレス事情は?
 今、沖縄は熱いですね。イングレスは今、世界のさまざまな都市でイベントを開いている。例えば、オランダのアムステルダムとニューヨークと北京の3都市で、青と緑が戦って、それぞれの合計点で勝敗を決めましょうというイベント。
 11月上旬に沖縄もイベントの地域の一つに選ばれて、すごく激しい戦いが繰り広げられた。宮古島に行ってくれる人はいないか呼び掛けたり、青の陣営が那覇を囲むフィールドを作ったと思ったら、今度は緑が台湾と八丈島をつないだりしていた。
 ユーザーもどんどん増えている。最近は、FMうるまでイングレスの番組も始まって、有り難い。沖縄はとても盛り上がっている。
 ―沖縄にはイングレスぜんざいも登場した。
 沖縄に行く機会があれば、是非食べてみたい。クリエイティブで、本当に最高だった。
 ―イングレスのレベルはいくつまであるのか。
 最高レベルは16。日本では、2人ほど確認されている。
 ―沖縄の最高レベルは?
 すごく熱烈なプレーヤーがいるので、高レベルな人がいるのではないかと思う。
 国際的な展開をするのもイングレスの面白いところだが、沖縄は台湾とのやりとりにも便利で、重要な拠点。
 ―ポータルの許可がなかなか下りない。なぜか。
 ポータルは、プレーヤーが探した街のアートや素晴らしいビルディングなどが申請されているが、審査は大変。世界には今、300万のポータルあるが、それと同じ300万もの審査待ちの列がある。審査を担当しているチームも一生懸命やっているが、しっかり審査しないといけないということで、時間がかかっている。ただ、少しでも早く許可を下ろそうと思って、今、いろいろと対策を考えている。そのうち改善が見られると思うので我慢して頂けたらと思う。
 ―なぜ、審査は人力なのか。
 テクノロジーだけでは解決できない部分がある。ポータル情報の正確さを、ストリートビューなどさまざまな方法を使って確認している。それは、コンピューターではなかなかできない。人の目が必要で、時間がかかってしまっている。
 ―レベルを上げる方法は?
 最もAP(経験値)が貯まる効果的な方法は、レベルの高いプレイヤーと一緒に歩き回ること。イングレスの目的の一つは、1人でプレーすることが好きな人もいますけれども、仲間を見つけて一緒にイングレスをすること。すると、ゲームがもっと楽しくなります。
 グーグルのHangouts(ハングアウト)や、グーグル+(プラス)でプレーヤーを探してもいいし、コミュニティーもある。イングレス内でもチャットのページで探せば、必ず誰かが迎えにきてくれると思う。高いレベルの人と一緒に行動できれば、3日くらいですごいレベルに達するんじゃないでしょうか。
 ―イングレスを体験する意味は?
 今、世界中の子どもたちが家の中でずっとゲームをしている。運動不足の子どもは多い。また喫煙が原因で亡くなられる方と同じくらいの割合で、運動不足が死亡の原因となっているという説もある。
 それならば、人をもっと外に出して、運動してもらって、周りのいろいろな物を楽しく発見してもらって、よく知ってもらうことができていけば、世界がもっといい場所に変わるのではないかと始めたのがイングレス。
 実際に、世界中の人がイングレスで動き始めている。これまでに世界中のプレーヤーが歩いた総距離は1億キロと言われていて、地球約2600周分に当たる。それほど動き、歩いている。そのことで、幸せになった人もいっぱいいる。
 シアトルで会ったおばあちゃんは、1日3マイル(4・8キロ)歩いているうちに糖尿病が改善したと話してくれた。他にも、健康になったとか、10キロ、20キロやせたとかっていう話が世界中で共有されている。それだけでもとても大きな意味があると思う。
 ―イングレスの今後の発展性は?
 イングレスで培った空間技術のようなものをできるだけ多くの人が活用できる形にしていきたい。それが簡単にできるように、API(ソフトウェアからOSの機能を利用するためのインターフェース)を作って、公開したい。1年先になるか、2年先になるかというプランで進めている。
 実現すれば、クリエイターの人たちが、イングレスと違うゲームなんだけれども、子ども向けのものをはじめ、地域に特化したものを作ってくれたらと思う。そういう方向に発展していって、人がもっともっと外に出るきっかけを作ってもらいたい。
 ―プレーヤーに本当はここに気付いてもらいたいというイングレスの魅力は?
 身の回りの事は、知っているようで実は知らないことが多い。自分の身の回りのことをよく知って、好きになっていくというのは、すごく大事なこと。
 イングレスが、周りの世界がこんなに面白いとか、素晴らしい場所だったと気付く助けになればと思っている。