衆議院議員選挙の真っただ中の土曜日の朝8時半。大学生中心の有志グループ「ゆんたくるー」が主催し、「島ぐるみ会議」が共催するというかたちで、名護市辺野古と東村高江をめぐるバスが那覇市おもろまちを出発した。
第2回「ゆんたくバス ピクニックツアー」。
 1回目は、知事選にタイミングを合わせて行われ、大好評を博したようである。じつはその1回目にもわたしは同行取材をさせてもらいたかったのだが、先約の予定があり断念した経緯がある。
 最初に断っておくが、このツアーは、特定の候補者・政党などに投票行動を呼びかけるようなものでは決してない。選挙に関心をもとう、という趣旨で、参加資格など一切問わない、政治に疎い参加者にとっても、ハードルの低い、「ゆるーい」ムードの体験ツアーなのである。
わたしは今回こそ参加したかった(念のために書いておくと、取材と言えども会費1500円也←弁当付き、を払っての参加である。が、極貧ライターにとってはありがたい良心的な参加費である…笑)。
 続いて沖縄市のコザミュージックタウン・音市場前でも乗り込む人たちがあり、総勢30名ほどのツアーが始まった。前回は満席も、今回は座席に余裕がある。そのことが気になって学生スタッフたちに訊くと、「知事選のときと比べると、この衆院選に対しては関心が薄い気がします」という答えが異口同音に返ってきた。
うーむ、やはりそうなのか…。
参加者は選挙権のない高校3年生や大学1年生から30代の社会人まで、県出身者の占める割合が多く、今回はほぼ全員が県内在住者だった。
ほぼ、というのは例外があって、スタッフのリーダー的存在の元山仁士郎さん(国際基督教大学3年、宜野湾市出身)がこのツアーのために一時帰省して参加したかたちだったからである。
と、彼を引き合いに出したところで、元山さんの紹介がてら、この企画の成り立ちを説明しよう。
話は今年の8月12日に遡る。
この日付を目にしてピンと来る人は相当に勘の良い人である。もしかして13日? と思った人は、さらに意識の高い人だろう。
そう。2004年8月13日に普天間基地所属の米海兵隊ヘリが沖縄国際大学に墜落してから、ちょうど10年の節目。その前日の12日に、同大学では沖国大平和学ゼミと市民グループ「ニュー・ウェーブ・トゥー・ホープ」の主催で基地問題について語り合うシンポジウムが開かれた。
そこに参加し、登壇スピーチした元山仁士郎さん、平良美乃さん(関西外語大学3年、浦添市出身)、眞鍋詩苑さん(名桜大学3年、京都府出身)、友寄元樹さん(琉球大学4年、沖縄市出身)の4人の学生を中心に、基地問題など考え続けるアクションをしていこうということになったらしいのである。
その4人のうちの2人が、今回のバスツアーにも参加。元山さんと眞鍋さんである。2人には、今回の取材では写真提供などたくさん協力してもらったことをここに付記しておきたい。
元山さんは、普天間高校を卒業してから、浪人生活を送るため上京した直後に、あの「3.11」を経験した。
「意識が変わったのはそれからですね。それまでは、普天間基地って騒音も酷いけど、仕方ないでしょ、ぐらいに考えていましたから」
なぜ意識が変わったのだろう。
「嫌なものが地方に押し付けられるという点で、原発と基地とは似てるなぁと思って」
 それからは予備校の仲間と語り合ったり、本を読んで勉強を重ねたりするなかで、原発問題や基地問題への関心は深まっていった。
 やがて元山さんは、大学生活を送りつつ、「特定秘密保護法」にも直面することになる。
 知る人ぞ知るSASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)という団体があり、じつはこの法律が施行される前夜12月9日の首相官邸前のデモにも、彼は参加している。何を隠そう、元山さんは、この団体の立ち上げメンバーなのである。初めてこの団体でデモをしたのは今年の2月1日だった。
「あれからまだ1年経っていないんですよね。でも、SASPLでの経験が、沖縄の仲間とこういう企画を立ち上げたり、アクションを起こしたりすることに生きているのは間違いありません。基地問題もタブーなんかじゃないんだ、おかしいものはおかしいと言う活動をしてもいいんだ、って確信を持てるようになったので」
 聞けば、政治的な関心を強く抱くような環境で育ったわけではないという。
「父なんかは、バリバリの保守の人ですし(笑)。でも、僕のやっていることには理解も応援もしてくれていますよ」
じつはこの話を聴いたのは、バスツアーがお開きになってからの懇親会の席でのことだ。
ツアー中の元山さんのリーダーシップの発揮の仕方をじーっと眺めていて、これは彼にインタビューしないわけにはいかんな、と思った次第。
話を戻そう。
辺野古を目指して高速道路を走るバスの中では、参加者がそれぞれ自己紹介やこのツアーを知ったきっかけ、参加した目的などを、あるいは、辺野古に行ったことのある人はその印象を皆に伝え、行ったことのない人は自分の抱いているイメージを語った。
じつに知識も意識も経験も様々な人たちの集まりで、わたしはもうそれだけで、なんだかわくわくしてくるのだった。(つづく)

那覇市おもろまちから、さぁ出発

写真中央が、宜野湾市出身、国際基督教大学3年の元山仁士郎さん

那覇市おもろまちから、さぁ出発 写真中央が、宜野湾市出身、国際基督教大学3年の元山仁士郎さん