第12回沖縄県知事選は11月16日投開票され、無所属・新人で前那覇市長の翁長雄志氏(64)が初当選した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設が最大の争点となった知事選。今回の結果をどう見るか、評論家で電子マガジン「シノドス」の編集長、編集者の荻上チキさんに聞いた。(聞き手・與那覇里子)

-今回の選挙結果をどうみるか

選挙前から、現職の仲井真弘多知事(75)の劣勢が伝えられていました。8年間の評価を受けてということもあったが、特に基地問題を受けて、もともと票を入れていた人たちにも離反者が多く出てきました。そうした票の集積なくしては、翁長氏の勝利はなかった。

仲井真陣営は今回、県内移設という選択肢への理解を訴えていました。<後ろ向きに見えるかもしれないが、これこそが実は前向きな選択肢なんだ>というロジックですね。翁長陣営は、当然それを批判する。<騙されてきた体験、本土に押し付けられてきた歴史を、これで終わりにしよう>というロジックです。仲井真氏は、絶望は実は誤解だという論理。翁長氏は、絶望した感情を代弁する言葉でした。

おや、と思ったことがあります。選挙後半になって、翁長陣営に対するネガティブキャンペーンが目立ったことです。「反共」感情に訴えるようなビラやポスターも多く配布されていました。もちろん、こうしたことは選挙につきものですが、投票日前日の最後の演説で、仲井真陣営が車上から、「左翼に政権を渡していいのか」と叫んでいたのを見て、さすがに少し驚きました。選挙戦で一番注目されているあのタイミングで、こういうフレーズを選ぶ。追い詰められた結果でもあり、県民感情への応答に失敗しているとも感じました。

-保守は分裂し、革新は独自の候補者を立てられなかった

その点を逆手に取り、保革分断は終わりにしようと訴えた翁長陣営と、保革対立に落とし込みたかった仲井真陣営との対比も分かりやすい。「イデオロギーよりアイデンティティ」というフレーズは確かに希望的です。ただ、これは新たな分断のはじまりにもなりえます。保革連合に亀裂が入れば、再びアイデンティティのために立ち上がるというストーリーも崩れてしまう。希望の実現という成功体験の積み重ね抜きに、先には進みがたい。

-なぜ、沖縄に取材に来たのか

率直に言えば、この選挙風景を見ることが、自分にとっても大事になると思ったからです。そもそも基地問題は、沖縄だけの問題ではない。県外移設を求めているということになれば、すべての都道府県が議論のテーブルにつき、応答しなくてはいけない問題です。今回の選挙は、どう転んでも、歴史的に重要なものとして語られます。「2014年のあの選挙で、翁長氏が勝利した。その結果……」と。その先に何が続くにせよ、全ての日本国民の将来に関わるものであることは間違いありません。