山城吉超の引退セレモニーは、10月19日、那覇市民体育館において、「琉球キングスvs.島根スサノオマジック」の2戦目のあと、無事に執り行われた。
 だがその前に、前回の続きから。
 山城吉超がヘッドコーチの伊佐勉について語るとき、彼の「優しさ」は特別際立つように感じられた。
「前のシーズン(2012-13)でリーグ史上最多勝利をあげながらプレーオフで負けてしまいましたよね。その次のシーズンで、ムーさん(伊佐HCの愛称)がウチナーンチュ初のヘッドコーチになったわけですから、『ムーさんでも駄目か』とは絶対に言われてしまわないように、という選手たちの気持ちはとても強かったです。いつもの年より早く自主練もスタートして、心構えは違っていましたね」
「ムーさんも、意識を変えて臨んだシーズンだと思います。アシスタントコーチのときは、ヘッドコーチと選手の仲を取り持つ役割をすごく意識してくれていて、チームの調和を作ってくれた部分が大きいと思いますけど、チームの優勝という目標達成のための責任は大きくなったわけで、昨シーズンに入る前から、僕もムーさんの覚悟を感じていました」
――吉超さんとしては、ムーさんへの接し方も変わったところがありますか? 以前ムーさんにインタビューさせてもらったときは、自分は特に姿勢を変えたつもりはないが、選手がわきまえてくれていて助けられたと言われてましたが。
「僕の場合は、意識してムーさんとは距離を取るようにしましたね。以前だったら練習終わってふざけて話をしたことも多かったですが、ヘッドコーチになってからは、わざと黙ってムーさんの前を通って帰ったり、逆にムーさんが疲れているなと思ったら、おちょくってから帰ったり(笑)」
 ハードな練習から遠ざかって久しいゆえ、眼前の山城の顔はふっくらとしている。体格を見ても明らかにひとまわり太くなっている。コートを激しく動き回っていた頃の研ぎ澄まされた「気」のようなものも、すっかり薄らいでいる。
 しかしそんな現在の山城からは、昨シーズンの絶対に伊佐勉を優勝監督にする、という強い覚悟が、あたかもリアルタイムの「熱い思い」として、ビンビン伝わってくるのだった。あの有明コロシアムでの優勝劇から5カ月も経っているというのに。

これほど愛された選手も珍しい(photo by Junya Nashiro)

苦楽をともにした金城茂之のスピーチは、山城吉超の胸にじんわりと染みこんでいった(photo by Junya Nashiro)

二人にしかわからない感情もある(photo by Junya Nashiro)

球団は、チーム創設以来の功労者に対して、最大の敬意と感謝を表した(photo by Junya Nashiro)

これほど愛された選手も珍しい(photo by Junya Nashiro) 苦楽をともにした金城茂之のスピーチは、山城吉超の胸にじんわりと染みこんでいった(photo by Junya Nashiro) 二人にしかわからない感情もある(photo by Junya Nashiro) 球団は、チーム創設以来の功労者に対して、最大の敬意と感謝を表した(photo by Junya Nashiro)