またしても長らくご無沙汰いたしました。言い訳めいた口上を何度も書くのは潔くありませんが、スポーツの秋、文化の秋、政治の秋、たけなわです。ここから気合を入れ直して書くべきことをどんどん書いていきます。改めてよろしくお願いします。
 本題に入りましょう。キングス連載の再スタートです。連載第2回ではありますが、今回はすんなり続きを書くのではなく、番外編的に一人の人物をクローズアップします。
10月18日、19日の開幕ホームゲームの2戦目に「引退セレモニー」が予定されている山城吉超さん。
 琉球キングス創設以来チームに所属し7シーズンを過ごし、3度の優勝に貢献した選手です。力士かレスラーかと見まごう体格と他選手にはないプレースタイル、愛すべきキャラクターも相まって、プレータイムの多寡にかかわらず、コートに立つたびにファンからの絶大な声援を浴び続けました。
 去る10月9日、正味1時間の単独インタビューの時間を得ることができました。その内容を踏まえたうえで、ここに人間・山城吉超の魅力の一端をお届けしたいと思います。(以下、文中敬称略)

山城選手の昨シーズンの雄姿。2013年12月の大阪エヴェッサ戦(いずれもphoto by Junya Nashiro)

山城選手の昨シーズンの雄姿。2013年12月の大阪エヴェッサ戦(いずれもphoto by Junya Nashiro)

山城選手の昨シーズンの雄姿。2013年12月の大阪エヴェッサ戦(photo by Junya Nashiro)

10月9日、インタビュー終了後、沖縄タイムス本社ビル前にて(photo by Natsuhiko Watase)

山城選手の昨シーズンの雄姿。2013年12月の大阪エヴェッサ戦(いずれもphoto by Junya Nashiro) 山城選手の昨シーズンの雄姿。2013年12月の大阪エヴェッサ戦(いずれもphoto by Junya Nashiro) 山城選手の昨シーズンの雄姿。2013年12月の大阪エヴェッサ戦(photo by Junya Nashiro) 10月9日、インタビュー終了後、沖縄タイムス本社ビル前にて(photo by Natsuhiko Watase)

 琉球キングスにとって、山城吉超は、いわばシンボル的な存在である。
現キャプテン金城茂之とともにチーム創設の2007-08シーズンから7季連続で在籍し、初年度のどん底も、3度の優勝も、あと一歩で栄冠を逃した悔しさも、たっぷりと経験してきた選手だ。
 わたしが取材者としてキングスを追いかけ始めたのは2季目の08-09シーズンからだが、彼は当時から、ファンにとって特別な存在だった。
 球団代表の木村達郎は、内容の良かった勝利試合のあと、こんな表現をしたことがある。「山城も、ボヨンボヨンとゴムまりのように走ってくれて…(笑)」。つまり、山城がコート上を巨体を揺らして思いのほか走りまわって活躍した「意外性」を、心から喜んでいたのだ。実際、彼が少しの時間でも出場してコートで躍動すればファンは沸く。その球団への貢献度を認めた上での言葉だったと、わたしは記憶している。
 もちろん代表やチーム首脳陣は、山城には外国人ビッグマンとも当たり負けしないディフェンス能力があること、見かけとは違う器用さを持ち合わせて、ゴール下で意外性のあるパスを出し方、受け方のできること、ベンチでのムードメーカーとしての役割をこなせる人柄等、総合的に評価していた。
 さらに球団フロントとしても、多くのファンが彼を「マスコット」的存在として愛していることを含めて、総合的に高く評価していたはずである。
 だからこそ山城は、大学卒業後のプロ選手生活7シーズンを、キングス一筋に全うできたのだと思う。
 さて、そんな山城吉超に、引退を決意したきっかけを問うたとき、彼が万感の思いをこめて振り返ったのは、今年5月の王座奪還だった。
「昨シーズンは、開幕前から、チームに程よい緊張感があって、みんな気合が入っていたと思います。それは、ウチナーンチュ初のヘッドコーチとなったムーさん(伊佐勉HCの愛称)を、必ず優勝監督にする、という大きな目標があったからです。怪我から復帰してしばらく経っていて、僕自身調子が良くて、心・技・体すべて揃ったシーズンでした。そして優勝できました。ムーさんを優勝監督にすることができました。満足できたシーズンでした」

――しかし、まだまだ現役を続けてほしいというファンの声もありました。
「たしかに頑張れば、あと2~3年は現役でやれた気もします。でも、こんなに良い終わり方はないですよね。このまま次のステージへ行くことも悪くない、と思えたんです。もともと飲食関係の事業には興味がありましたから(筆者注※料理の達人として知る人ぞ知る存在でもある)、次の目標へ向かうために、ピースが全部当てはまった、という感じです」
 実際、シーズン中もチームメイトを自宅に招いて料理を振る舞うことも珍しくなかった。
 また元来、人とのコミュニケーションが大好きな性格だ。人が集まれる場所を自分の手でつくりたい、という思いも人一倍強く抱いていた。
 今、次なる事業の具体的な計画を煮詰めている真っ最中だという。そのプランが近い将来公表されることを、今から心待ちにしたい。気の早い話だが、山城吉超の店なら大繁盛間違いなし、と蛇足を言いたくもなる。