第2回目の今回は、沖縄で生産される塩の特徴についてお伝えしたいと思います。

生命を育むサンゴ礁

コマカ島を取り囲むサンゴ礁

那覇市など都市部の海岸でもサンゴ礁が残っている

石垣島のサンゴ礁

生命を育むサンゴ礁 コマカ島を取り囲むサンゴ礁 那覇市など都市部の海岸でもサンゴ礁が残っている 石垣島のサンゴ礁

 前回、沖縄県では優に100種類を超える塩が生産されており、実は沖縄は塩の名産地であること、そしてそこには歴史的な背景があることをお伝えしましたが、沖縄が塩の名産地たる理由はもう1つあり、それが「地理的環境」です。

 世界を見渡せば大陸には岩塩鉱山や塩湖が多数存在していますが、日本にはそれらの資源が存在しないために、純国産の塩はすべて海水が原料となります。そのため、「海水が汚染されずにきれいである」ということが、日本での塩作りの第一条件でもあります。
 そしてみなさんご存じの通り、サンゴ礁が隆起してできた沖縄県は、サンゴ礁が群生する世界でも有数の美しい海に囲まれていますよね。サンゴ礁は海の景観を良くしてくれるだけでなく、光合成を行うことで海水の浄化を行うとともにミネラルも放出してくれるので、海水を清浄に保つ働きを持ちます。さらに、沖縄に流れる海流は「黒潮」という暖流で、この海流にはプランクトンや微生物を分解する働きがあるため、海水が濁らず透明感があります。また、大きな工業地帯がなく排水による汚染があまりないこと、他県に比べると大きく長い川がないために大雨による山からの土砂などの流出がほとんど見られないことなど、そのほかにもいくつかの理由があり、沖縄県の海水は透明度が高く清浄な状態が保たれやすくなっています。

 沖縄では、海水を汲んできてそのまま鍋で煮詰めるという製法が主流でしたが、17世紀に入浜式塩田が伝えられてからは、塩田での製塩が活発になりました。塩田が特に盛んだった泡瀬や泊、屋我地にお住まいだった方は、小さい頃に塩田での塩作りを手伝ったという方も多いのではないでしょうか?

 この塩田にも沖縄県ならではの特徴があり、通常は砂利などを使って塩田の土台を作っていくのですが、沖縄ではサンゴ礁の干潟を活用してその上に砂を敷いて塩田を作っていました。そのため、サンゴ礁のカルシウムの影響で、カルシウムを多く含んだ塩が生産されることが多く、これが最終的には「塩の甘み」となって表れます。現在ではこの伝統的な塩田製法を採用しているのは屋我地島の1か所のみとなりましたが、海水を濃縮する過程でサンゴ礁を活用したり、できあがった塩に造礁サンゴカルシウムをブレンドして製品化している製塩所もあり、沖縄の塩の大きな特徴の一つと言えると思います。

 また、製造工程でサンゴ礁を活用せずとも、琉球石灰岩を通ってきた海水を取水したりすることで、もともとカルシウムが多く含まれた海水が原料になる場合が多く、釜で炊いて塩を作ることが主流となった今でも、最終的にはカルシウムが多く含まれた塩ができやすい傾向があり、それが「沖縄の塩は甘くておいしい」という評価につながっているのではないかと考えられます。

 台風の襲来、日照時間の短さ、降雨量の多さ、湿気の多さなど、塩づくりには不利な面も多くある沖縄ですが、何ものにも替え難いこの美しい海のおかげで、塩の名産地としての地位を確立できているのです。