■闘牛たちの声


 さぁ、闘牛場に牛が入場してきました。闘牛士の「勢子(せこ)」が、牛を向かい合わせて、試合開始! といきたいところですが、スムーズに試合が始まらないこともあります。リングに入った闘牛が、他の牛の匂いを気にするからです。
 闘牛は、闘牛場の中を自分のフィールドだと思っています。なので、犬のマーキングのように、牛も自分の匂いを付けようと、闘牛場に入ってくると体を横に倒し、頬を土に擦りつけていきます。
 気合の表現も牛によっていろいろです。土が観客席に飛ぶほど何度も何度も前足で地面を大きくかく牛、犬の遠吠えのように「モォー!」と大きく叫ぶ牛。牛の細かな動きにも注目すると、牛の心情も見えてきます。
 さて、いよいよ紅白に分かれて対戦が始まりました。しっぽについている布の色から牛を見分けます。そして、前回も書きましたが、対戦時間は決まっていません。しかし、30分ほどの長期戦になると、前半では見られなかった牛の体調の変化が表れることがあります。
 後半は、口からよだれが多くなったり、おしっこや脱糞があったりします。息が苦しくなると、鼻呼吸だけでは持たず、肺が大きく上下に動き、さらに耐えられなくなると、口を開いて「ゼーゼー」してくるようになります。そうなると、体力が限界にきている証拠です。

■お気に入りの探し方


 お気に入りの牛は、どのように探せばいいのでしょうか。
 出場している闘牛の情報は、入り口で配られるプログラム(対戦表)にあります。相撲の番付表のように、強い牛から上から順番に書かれていて、対戦もプログラムの一番下から始まります。
 プログラムには、牛の名前の下に、牛主の名前、所属組合、牛の体重も細かくあります。初めて応援するときは、これらの情報を基にいろいろ想像すると面白いと思います。小さいけれど、スタミナのある牛。大会の中で一番重い牛。地元が同じ牛。以前も書きましたが、体の色に由来する「パンダ」やユニークな「グーチョキパーンダ」「梨夢神(リムジン)」などの興味深い名前の牛。いろんな特徴から、これだ!という牛を見つけてください。
 そして、“耳”からも牛の情報が入ってきます。毎週月曜日午後8時から、FMうるま(86・8メガヘルツ)で番組「伊波大志の闘牛列伝」を担当する闘牛界の超有名人で、自らも牛主の闘牛アナウンサー伊波大志さんが、牛が今、どういう技をしているのか、どんな心境なのかを解説してくれます。困った時は、伊波さんの実況に耳を傾けてください

■闘牛観戦までの道のり


 闘牛を観戦するために、まずは、闘牛大会のある日程を調べましょう。大会は基本、週末。沖縄タイムスの紙面とウェブでは、大会から直近の水曜日に大会情報が掲載されます。他にも、ネットで「闘牛IN沖縄」もしくは「闘牛・屋良ビデオ」で検索すると、現時点で決まっている大会の日程が分かります。
 大会が始まるのは、午後1時。全席自由なので、2時間近く前から観客が集まり始めます。常連さんは、クッションを手に駆けつけます。ただし、県内各地の精鋭が出場する「全島闘牛大会」は正午スタート。時間を間違えないように。
 さて、闘牛大会のチケットは、ほとんどが当日券のみの販売。受付で支払いを済ませると、プログラムが手渡されます。これが支払い済みの証です。無くさないように。ちなみに、入場料は大会によって異なりますが、大体、男性が3千円、女性が2千円、中学生・高校生が千円です。
 試合前の闘牛に合うためには、闘牛場のすぐ隣の牛の待機小屋へ。当日は気が立っている牛ばかりで、牛主も緊張しているので、見学は遠くからしてくださいね。

■試合が終わったらお約束のカチャーシー


 さて、3人の審判の旗が揚がり、試合が終わりました。闘牛アナウンサーの伊波大志さんが「勝負あり!」と実況すると、負けた牛は、とぼとぼと入場口に向かい、会場を後にします。その姿は心なしか、悲しげで、足取りも重く、敗北感に満ちています。負けた悲しみは牛主も同じです。でも牛主は、牛と一緒に会場を出て行くと、待機小屋で頑張った牛をすぐにシャワーで癒やし、傷があれば消毒し、いたわります。観戦する方はぜひ、勝った牛だけでなく、負けた牛にも拍手をお願いしたいです!
 一方で、勝った牛は牛主とその仲間たちと闘牛場の中央へ。優勝ガウンを掛けてもらい、みんなで喜びのカチャーシーを踊り、牛の背中に飛び乗る牛主もいます。その表情は、みんな輝いています。“闘牛カメラマン”の私は、その瞬間を撮るのが好きなんです。
 そして勝った牛は、どんなに疲れていてもご機嫌で、しっぽをフリフリ。牛も勝ったことを知っていて、帰る姿も堂々としています。そんな自信が、次の大会にも生きてきます。
 牛主や応援団も闘牛と勝った喜びを分かち合いたくて、日頃の世話を頑張っています。
 しっぽをフリフリ。モー、たまらない

前足で地面を大きくかいて、気合をみせる闘牛

闘牛の情報がたっぷりと詰まったプログラム

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=78262

試合に勝った後、しっぽを振って喜ぶ闘牛

前足で地面を大きくかいて、気合をみせる闘牛 闘牛の情報がたっぷりと詰まったプログラム http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=78262 試合に勝った後、しっぽを振って喜ぶ闘牛