今日から数回に分けて、知られているようで知られていない、沖縄の塩について、歴史・文化・健康・食などの様々な切り口からお話していこうと思います。

シママースを生産する青い海の塩

「粟国の塩 釜炊き」を作っている小渡幸信氏

屋我地島にある入浜式塩田。昔の沖縄にたくさんあったタイプの塩田です

シママースを生産する青い海の塩 「粟国の塩 釜炊き」を作っている小渡幸信氏 屋我地島にある入浜式塩田。昔の沖縄にたくさんあったタイプの塩田です

さて、あまりにも身近なだけになかなか意識をすることもない「塩」。

みなさんはおうちでどんな塩を使っているでしょうか? 講演の時などにアンケートを取ってみると、「ヨネマース」を使っていらっしゃる方がほとんどで、それと併用して「粟国の塩釜炊き」や「ぬちまーす」、もしくは地元のお塩も使っているという方が多いようです。

では沖縄にはいったいどのくらいの塩の種類があるのでしょうか?

ちょっと近所のスーパーマーケットに行って塩の棚を見るだけでも、実にたくさんの沖縄の塩が並んでいることに気が付くと思います。沖縄の塩だけで10種類以上は置いてあることも珍しくありません。それもそのはず、実は沖縄県では優に100種類を超える塩が生産されているんです。国産の塩は650種類以上あるのですが、そのうち100種類がなんとメイドイン沖縄! これって実はものすごいことなのです。

今回は、どうして沖縄ではこんなにたくさんの塩が作られるようになったのかについて、歴史を振り返ってみようと思います。

沖縄はもともと、そんなに塩作りが盛んではありませんでした。

美しい海は目の前に広がっていますが、日照時間は意外にも長くなく、夏になればスコールも多い上に台風は襲来するし、冬は曇り空が多く、塩作りに向いている環境ではないからです。17世紀になって薩摩から、潮の干満差を利用した「入浜式塩田」という塩作りの技術が伝えられ、そこから沖縄市の泡瀬や那覇市の泊などで、サンゴ礁の干潟を利用した沖縄ならではの塩田が大々的にスタートしました。でもこれは一度、なくなってしまうんです。