はいさ~い。モデル・タレントの大城早貴が執筆するコラムが始まりました。どうぞよろしくお願いします! 私の使命は、聞こえる人と聞こえない人の架け橋になること。1回目は、読唇術(どくしんじゅつ)と難聴についてお伝えします。
 音のない世界で生きる私のコミュニケーション方法の一つ、読唇術。相手の口の動きを見て、言葉を読み取ります。全ての聴覚障がい者ができるとは限りません。完璧に読み取ることも、非常に難しいのです。

補聴器に耳を傾けて、読唇術で会話します

聴覚障がい者のコミュニケーション手段(複数回答)

聴覚・言語障がいの原因

聴覚・言語障がいの原因

補聴器に耳を傾けて、読唇術で会話します 聴覚障がい者のコミュニケーション手段(複数回答) 聴覚・言語障がいの原因 聴覚・言語障がいの原因

■たまごとたばこ


 例えば、「たまご」と「たばこ」、「おかし」と「おはし」。口を動かすと、口の形が同じなんです。ゆっくり口を動かしてもらっても、「おかし」を「お・か・し・い」と読み取ってしまう場合もあります。こういう時、頼りになるのが補聴器です。わずかに聞こえてくる音声を微妙に感じ取ることで、読み取れる言葉の精度は上がります。
 しかし、この読唇術、体力的にも精神的にも、かなりの負担。365日、毎日、毎日、相手の口元を見て、補聴器に耳を傾けて、目や脳や神経をフル活用します。特に、会議や商談がある日は、さらに神経をとがらせます。
 聴覚障がい者は、目に入ってくる情報から、話を一生懸命理解しようと集中しています。気付かないうちにものすごく疲れてしまったりするので、一言でもねぎらいや励ましの言葉をかけてもらえると、とてもうれしいんです。

■飛行機の爆音がわずか


 私のコミュニケーションを支えてくれている補聴器ですが、難聴の種類によって、はっきり聞こえたり、ぼんやりとしか聞こえなかったりします。
 伝音性難聴は、大きな音であれば、補聴器を通して、比較的良く聞こえます。外耳や中耳(鼓膜や耳小骨など)に障がいがあって、音が伝わりにくく、聞こえても小さな音量。でも補聴器を使えば、日常生活はほとんど困りません。
 補聴器を通してもぼんやりとしか聞こえないのは感音性難聴です。私もその一人。音を認識するために最も大切な内耳(蝸牛(かぎゅう)・聴神経)や脳の聴覚中枢に障がいがあります。ここが損傷していると、音がゆがんだり響いたりして鮮明に聞こえず、言葉への変換や識別ができません。
 補聴器の音量を大きくしたり、音質や音の出し方の調整はできますが、大半は、どんな音なのか、相手が何を言っているのか分かりません。ただ、聴力訓練や聞こえる能力の差によって、話している内容が分かる方もいます。
 一方で、言葉を話せるようになった後に失聴してしまった人は、まったく聞こえなくても、ほとんどの人が話せます。補聴器を付けると、相手が何を話しているのか分かる場合が多いのです。生まれつきの難聴の場合でも、聴力が90デシベル以下であれば、訓練次第で電話でやりとりできる場合があります。ただし、100%完全に内容が分かるわけではありません。
 私は、1歳半の頃、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)になって聞こえなくなりました。聞こえるのは、飛行機の爆音をわずかに感じ取れる程度。補聴器を片耳に付けて、残っている聴力でなんとなくは聞こえてきますが、やはり音の識別までは分かりません。健常者にとっては、どこからか聞こえてくる知らない外国語が耳に流れている感覚でしょうか。デタラメにしか分からないこともあるので、「聞く」と「話す」はかなりの訓練が必要でした。

■人口の5%が耳に障がい


 全国に聴覚・言語障がい者の人たちがどれだけいるかご存じですか?
 全国には、34万人以上の聴覚・言語障がい者がいます。那覇市の人口約32万人よりも多いのです。さらに難聴者や高齢者を含めて、何らかの形で聴覚に不自由を感じている人は、600万人以上、全人口の約5%とも言われています。

 生まれつき音が聞こえない人。事故で突然、音のない世界で生きることになった人。病気や心因性などから聴力を失った人。明日は我が身かもしれません。だからこそ、一緒に「聞こえないこと」について学びませんか?
 実は、私は、耳が聞こえなくて良かったと思っています。いろいろと苦労や辛いことはもちろん多々ありますが、たくさんの素晴らしい方たちと出会い、様々な経験や“喜怒哀楽”という豊かな人間性も与えてもらいました。神様からの素敵なギフトだとも思っているのですよ。
 次回は、聴覚障がい者がどのように日本語を学んでいくのかをお伝えします。是非お楽しみに。