「ヒーヤー!」「ハイヤー!」「ハイ、ナマヤサ!」
闘牛の試合が始まると、会場には、このような威勢よいかけ声が響き渡り、「パンダ」「グーチョキパー」「梨夢神(リムジン)」といった牛の名前も飛び交います。
一体、どういうことなんでしょうか。今回はまだ、闘牛を見たことがないあなたに、闘牛観戦方法のイロハをお伝えします。

「ヒーヤー」「ハイヤー」と威勢のよい大きなかけ声をかける勢子(せこ)

顔に黒と白のブチがある闘牛。見た目から、「パンダ」と名付けられることも多い

私の撮った写真で発売された全島闘牛大会の100回記念切手

「ヒーヤー」「ハイヤー」と威勢のよい大きなかけ声をかける勢子(せこ) 顔に黒と白のブチがある闘牛。見た目から、「パンダ」と名付けられることも多い 私の撮った写真で発売された全島闘牛大会の100回記念切手

■かけ声で闘魂注入

幼い頃から闘牛に携わっている私。時折、「牛を闘わせるなんてかわいそう」と言われることもあります。しかし、人が牛の急所を刺すスペインの闘牛と違って、日本の闘牛は、牛同士が闘います。
それは、子孫を残すための雄牛の本能です。闘争心むき出しの本気の戦いは、自然なこと。決して、人間が無理やり、戦わせているわけではありません。愛情持って育てた牛主たちは、自分の子供ように牛を応援しているんですよ。
さぁ、いよいよ試合です。牛と共に入場してくるのは、「勢子(せこ)」と呼ばれる闘牛士。試合が始まると、一頭に3~5人の勢子がついて、それぞれ交代で、牛に威勢よい大きなかけ声を掛けて闘魂を注入します。
「ヒーヤー、ヒーヤー、ヒーヤー、ヒーヤー」「ハイヤー、ハイヤー、ハイヤー、ハイヤー」「ハイ、ナマヤサ、ハイ、ナマヤサ」。

 決まった掛け声はなく、勢子は独自の掛け声を編み出しています。「ハイサイ、ハイサイ、ハイサイ!(沖縄の方言でこんにちはの意味)」を繰り返すベテランの勢子もいます(笑)。
このかけ声が、勝敗も左右します。牛にエネルギーが伝わっているか、「勝ちに行く!」という気持ちが一心同体か。
牛は、体をぶつけ合い、顔を右に左に傾けて、角を突き合わせます。(1)相手の額を突く「割り」(2)相手の角に自分の角を掛けてひねる「掛け」(3)全体重で相手にのしかかり、体力を奪う「もたせこみ」(4)横腹を狙って相手の戦意を奪う「腹取り」など、決まり手が決まるまで、もしくは、おしりを向けて戦意喪失を表明するまで闘います。
対戦時間は牛が決めるので、決着まで長いと1時間以上、短期勝負の牛は、ほんの数秒とまちまち。主に闘牛連合会の役員が担当する3人の審判が、紅白のどちらかの旗を揚げたら試合終了です。

■牛なのにパンダ?

 牛の名前にも注目です。
例えば、体の色に由来する名前。黒と白のブチの牛は、その見た目から「パンダ」、足元が靴下を履いているように白い牛は「白タビ」、赤牛は「アコー」と呼んだりします。
 角の特徴から、方言で名付けられる牛もいます。角がとがっているのは「トガイー」、下向きの角は「カブラー」、後ろ向きは「ボーヌー」、左右の角の大きさが違う「ヒーゲー」、上向きの「タッチュー」、横に広がっている「ヒラー」。
おもしろネームは、冒頭でも紹介した「グーチョキパー」「梨夢神(リムジン)」「とぅるるんてん」など。会社やお店の名前を付けたりする牛主もいます。

■闘牛は、どこで観戦できる?

沖縄県内には、16ほどの闘牛場が残っていますが、1年を通して使われているのは、うるま市にある石川多目的ドーム闘牛場です。年に数回、本部闘牛場、今帰仁闘牛場も地区の大会で使われます。一つの大会で約10試合、展開されます。
闘牛は、年間30大会ほど。そのうち、県内各地の精鋭が出場するのが、5月第2日曜の「春の全島闘牛大会」と11月第2日曜の「秋の全島闘牛大会」です。指定席ではないので、午後1時開始にもかかわらず、午前8時ごろから列ができます。道路は渋滞、観客席も闘牛ファンでびっしり。余談ですが、昨年の第100回大会は、私が撮った写真が記念切手になったんです。
 無料で見られる「まつり闘牛大会」もあります。主にうるま市、今帰仁村、本部町、読谷村のお祭りで開催され、年に数回ですが、初心者にオススメです♪
闘牛場では、自らも牛主で、まだ20代の闘牛アナウンサー伊波大志さんが、スピード感たっぷりの実況と丁寧な解説で、盛り上げます。耳を傾けてみましょうか。
「さぁ、全島闘牛大会。チャンピオン、チャレンジャー共に入場してきました。さぁ、どちらが勝つのか。ヒーヤイ、ヒーヤイ、ヒーヤイ! 闘牛士も熱が入っております。チャンピオンが、一気に掛け技で押し込んでいく! 旗が上がりました! 勝負決着でございます」
 さぁ、あなたも闘牛場に、遊びに来ませんか。