赤、黄、緑…と目の覚めるような原色の羽根。キラキラ輝くコスチューム。サンバダンサーと聞いて真っ先に想像するのは、これら「鮮やかな衣装」ではないでしょうか。実は、その衣装のほとんどが、手作りなんです。 ブラジルのサンバの祭典「カーニバル」で、チームの顔となる女王級ダンサーが身に着ける衣装。それらは全て、その日の為だけに職人の手によって作られますが、その金額がまた凄いんです。数百万円以上するとか!! 確かに、1本あたり4~5千円するような模様の美しいキジの羽根を数百本以上も使い、スワロフスキーを贅沢にあしらった、まるで「踊る宝石箱」のような最高級衣装。そのぐらいかかるのは当然でしょう。
 ではそれを、私達沖縄のサンバダンサーが真似できるか?というと、無理!無理! 一着で、経営破綻に追い込まれてしまいます。たとえ、サンバダンサーを応援する衣装融資「サンバローン」があったとしても、現役で踊っている間に全額返済できるのか、不安で仕方ありません。ということで、「節約できる部分は節約したい!」「自分で衣装を作ってみても面白いかも!」との軽い気持ちで、手作り衣装に挑戦してみることにしました。
 まずは材料集めから。近所のホームセンターで買い出しです。買い物かごに入れたのは「針金」「ラジオペンチ」「万能はさみ」「グルーガン(ホットボンド)」「すき間テープ」「プラ板」。華麗なサンバのイメージとはかけ離れた、色気のない品々。レジスタッフの誰が見ても、サンバダンサーのお買い物とは想像がつかないでしょう。でもこれら日曜大工品が、衣装の要となる頭飾りや、背負子(しょいこ)の骨組みの材料となります。 手芸店では(ここからは夢がある!!)キラキラのサテン生地やスパンコール、スワロフスキー、ガラスビーズといった高価でなかなか手が出しにくい材料から、軽くて輝きのあるアクリルビーズまで、私好みの装飾の材料を購入。今、振り返ると、衣装の製作で一番楽しかった工程は、ここまでですね…。
 さて、いよいよ製作です。まずは頭飾り。ブラジルでは「カベッサ(頭の意味)」と言います。風の抵抗や、多少の衝撃にも耐えられるように、針金でカチューシャのような骨組みを作ります。触覚のような高さのある骨組みに、飾りを接着し、デザインを描いていくのです。生地、スパンコール、ビーズなどで装飾を施し、羽根をつけて出来上がり。背負子もカベッサと同じように、針金でランドセルのような土台をつくり、羽根を立体的に取り付けていきます。
 最後はビキニ。ブラジャー部分の作り方は様々ですが、ブラジルでは針金で、胸の輪郭を型取った「ビキニトップ」が主流のため、私も現地式で作成。そして、インパクトの強い「Tバック」。ブラジルであれば、見てくださる観客の方も全く気にしないのですが、沖縄で着用する衣装はあまりに露出が高いと、抵抗感を持つ方もいらっしゃるので、ビーズ装飾を多めに工夫。
 と、ここまでの作業に、仕事の合間をぬって週2回、数時間かけて製作を進めたところ、1カ月以上かかりました。職人さんであれば短期間で上手く作ってしまうのでしょうが、素人ではこれが限界です。さらに、衣装製作の期間中、私の指や腕は、切り傷、擦り傷、火傷だらけ! 先の鋭い針金や、熱々のホットボンドを扱うので、知らぬ間に傷だらけの痛々しいサンバダンサーに。
 そんな苦労に苦労を重ね、やっと衣装が完成! と思いきや、素人ならではの落とし穴が潜んでいたのです。

買い出ししたビーズを一つ一つつなぎあわせる地道な作業

頭飾りは風や衝撃にも耐えられるように針金で固定

まだ羽を付けていない状態の背負子(しょいこ)

自作のサンバの衣装を真上から見ると、こんな感じ。大きい

買い出ししたビーズを一つ一つつなぎあわせる地道な作業 頭飾りは風や衝撃にも耐えられるように針金で固定 まだ羽を付けていない状態の背負子(しょいこ) 自作のサンバの衣装を真上から見ると、こんな感じ。大きい