沖縄で作られた本を「沖縄県産本」と言う――。そろそろ定着していてほしいフレーズだ。
 はじめてこの言葉ができたのは1994年、地元の本をPRするために若手編集者らが集まって「沖縄県産本ネットワーク」を結成したときのことだ。活動の柱となっている「沖縄県産本フェア」も今年で第16回を数える。

『島々清しゃ』(まぶい組編、1992年、ボーダーインク)

沖縄は本当に特別か


 先日、同ネットワークのメンバーらと一緒に、県外出版関係者の勉強会に参加した。各地の出版事情についてたくさんの方と話をしたのだが、皆さんが口を揃えて言うのは「沖縄で、本の〈地産地消〉ができるのは、沖縄の歩んできた歴史、文化の独自性が背景にあるから」ということだった。本になるテーマを豊富に持っているからこそ地域出版が成り立つ、ほかの地域ではこうはいかない、とも。
 これだけたくさんの出版社があるからには、確かに沖縄は恵まれているのかもしれない。だけど本当に「ほかの地域ではこうはいかない」のだろうか。疑問は消えなかった。

増える「県産本」


 そんなことを考えているうちに、ある知らせをいただいた。県産本に新しい仲間ができたのだ。といっても、ネットワークに参加する出版社が増えたことではない。地方出版の先進県・岡山で、「おかやま県産本ネットワーク」(http://ameblo.jp/okayama-books)が発足したのである。
 立ち上げには、戦後の出版界を牽引して出版王国・岡山を築いた老舗から比較的新しい会社まで、4社が顔を揃えた。
 現在までに288巻(!)を刊行した岡山文庫シリーズで知られる「日本文教出版」。全国的にも名の知れた地方出版の雄「吉備人出版」。地域新聞社の出版部門として、これまで800点もの本を出してこられた「山陽新聞社」。そして、ボーダーインクから『沖縄劇映画大全』(http://www.borderink.com/?p=1495)を上梓した世良利和さんらの「蜻(あきづ)文庫」である。
 同ネットワークは活動の手始めとして、「第一回おかやま地産知書フェア」をスタートさせた(5月19日~8月末ごろ、丸善岡山シンフォニービル店。参加出版社6社)。今後も地場の本を「岡山県産本」としてPRしていく予定だという。
 また偶然にも時を同じくして、全国の出版社の本が北海道に集まることになった。