沖縄が本土復帰して42年。物価高騰など厳しい経済環境の中で衰退したネイルサロンは今、再び息を吹き返し、人口割で東京に次ぐ全国2位の件数を誇る。一方で、ネイルの工程や材料の成分については、なかなか知られていない。トラブルに巻き込まれても、法律が適用されない実態もあり、業界団体は対策に乗り出している。

有機溶剤や紫外線、人体に影響も

 沖縄県内でも6年ほど前から主流になっている「ジェル」と呼ばれるネイル。工程と成分は、一体どうなっているのか。記者が実際に体験し、NPO法人日本ネイリスト協会本部認定講師の嘉数明美さんに注意点や危険性などを聞いた。ジェルの工程は主に4段階。(1) 爪の表面をやすりで傷をつける
(2) 爪の油分や水分を「プレプライマー」で除去する
(3) ジェル状の「アクリル樹脂」を爪に塗る
(4) 「UVライト」を当てて固める まず(1)の工程で爪の表面をやすりで削り、樹脂が密着しやすくする。利用者は爪に傷が付くほか、ネイリストは削った爪の粉が舞うため、吸い込まないように注意が必要だ。 ジェルネイルでは、爪に水分や油分が残っていると、樹脂がはがれやすくなってしまうため、工程(2)で「プレプライマー」と呼ばれる液体を使い、念入りに落としていく。この液体の主成分は、酢酸エチル。身体に有害な影響を及ぼす「第2種有機溶剤」に指定されている。大量に吸いこむと中毒症状を起こしてしまう恐れがある。工程(3)の爪に塗る「アクリル樹脂」は、艶のあるジェルになる。透明性や耐久性に優れているため、パソコンや携帯電話の画面、航空機の窓ガラスなどに使われている。一方で、樹脂が肌に触れるとアレルギー反応や皮膚のただれを引き起こすことがある。 最後の工程(4)では「アクリル樹脂」を硬化させるため、「UV(紫外線)ライト」を当てる。UVは、肌の老化やシミ、しわの原因になる。ただし、現在、普及しているUVライトは、長時間浴びた場合に影響がある「A波」が主流だ。 そして、ジェルネイルを除去する時に使う「アセトン」も、酢酸エチルと同じ「第2種有機溶剤」に指定されている。 嘉数さんは「アセトンや酢酸エチルは、素人が扱ってはいけない。だからこそ、プロのネイリストによる施術が重要になってくる」と説明。安全で質の高いネイルサロンの見分け方として、(1)NPO法人日本ネイリスト協会が認定しているサロン (2)施術前にネイルのケアの方法や危険性を説明してくれること (3)道具の消毒などの衛生管理が行き届いていること―を挙げた。

トラブル

 人体に有害な化学物質を多量に使っているネイル。国民生活センターがまとめたトラブル事例(2008年)によると、「個人のネイルサロンでつけ爪をした。普通の半分以下の値段だったが、施術中、何回もやり直した上、翌日からはがれ始めた」「人工爪をつけたら爪にカビができた」「つけ爪をしてもらった2日後から指が化膿した」など38件の情報が寄せられた。 沖縄県民生活センターにも「ジェルネイルをしたら、自爪ごとはがれた」(2014年3月)との相談があったという。 トラブルを受け、国も対策に乗り出している。