以前のレポートにおいては、県内の雇用環境の改善に向けて、沖縄県の調査を紹介しながら「成長予感」というキーワードを通して人材育成の考え方を紹介させていただきました(「県内企業の雇用環境を改善するには~キーワードは「成長予感」」http://www.okinawatimes.co.jp/cross/?id=44)。

 人材育成は雇用環境の改善につながるだけでなく、人材育成の結果、社員の能力が向上すれば企業の業績向上にもつながります。今回は企業内での人材育成を考える上での参考になる視点を沖縄県の取り組みを解説しながらご紹介したいと思います。

沖縄での人材育成を考える際の視点

 基本的なことではありますが、県内で人材育成を考える際に抑えておきたい基本的な就業構造の特徴として、第3次産業に従事している者の割合が全国と比較して多いという点が挙げられます。

 2009年の総務省「経済センサス-基礎調査-」によると、県内の従業者数は58万3,000人で、そのうち87.1%の約50万7,000人が第3次産業に従事しています。全国と比較すると、第1次産業は全国平均と同水準ですが、第2次産業は全国平均の22.6%より10.2ポイントも低い12.3%にとどまっています。特に、製造業従事者の比率が5.2%と全国平均の15.6%と比較して極端に少なくなっています。一方、サービス関連産業である第3次産業従事者の割合(87.1%)は全国平均76.8%よりも10.2ポイントも高いのが現状です。

 第3次産業の中でも、「宿泊業、飲食サービス業」や、「医療、福祉」産業に従事している者の割合は多くなっています。特に、観光関連産業と関連性のある「宿泊業、飲食サービス業」の就業者数は46,797人で、県内の就業者数に占める割合は8.1%となり、全国トップとなっています(総務省「2010年国勢調査」)。また、非正規雇用の割合の多さも全国トップです。
 沖縄で人材育成を考える際には、このような就業構造の違いを考慮する必要があります。なぜならば、日本本土でよく議論されていた人材育成の課題は、日本の主要な大企業における輸出型製造業中心の日本型雇用の人材育成を考えることでした。その分野においては膨大な蓄積があります。一方、県内の産業構造はサービス業がメインです。さらに中小零細企業も多くなっています。したがって、製造業中心の日本型雇用モデルにおける人材育成手法を単純に取り入れても、業種、職種、企業規模の違いから模倣できることは多くはありません。

 しかし、県内の雇用環境の改善、そしてさらなる経済発展のためには、人材育成は不可欠です。県内のサービス業が中心で、非正規雇用、中小零細企業の多さといった特徴を考慮した、沖縄型ともいうべき人材育成を実施していかなければならないのです。