ジョン・レノンが歌った「power to the people」、坂本龍馬が叫んだ「新しい日本の夜明け」について、私は「自分たちの自立を目指し、1人ひとりが力を発揮する」という意味の言葉だと捉えている。

 現在の超高齢化社会や、どんな場面でも国際社会と競争しないといけない真の資本主義時代が訪れている中、この先沖縄がこの壁を乗り越えるためには、何かに依っていなければ立てないという依存体質を改善し、自立した沖縄で臨まないといけない。人が立つには足腰を強くする必要があり地域も同じである。地域の足腰とは私たち1人ひとりのことだ。より多くの沖縄人が「沖縄」に「参画」し、足腰を鍛えないと沖縄は1人では立てず、壁を乗り越えることができないだろう。

 では、どのように多くの人々を沖縄に参画させるのか? その1つとして、沖縄最大の都市である那覇市を地域ごとに分割して自治体を作る「地域自治区」にすべきだと提案する。

 「地域自治区」では、市町村内をいくつかの区に分ける。例えば首里地区、真和志地区、小録地区、市営住宅、本庁地区の5つ。その区に必ず、「地域協議会」という機関の設置を義務づけ、協議会には地域を代表する住民が参画し、区の街づくりに関する事や市町村への要望、意見をまとめることが出来るという行政システムだ。
 僕がこの地域協議会に注目している点は、NPOなどの団体も参画できるという点である。NPOや企業が地域づくりに参画可能なら、具体的な問題解決や洗練された街づくりの提案がなされ、魅力的な地域づくりが可能になる。例えば、NPOがワークショップを開き市民の地域参加意識を高め、そこに企業が新たなマーケットの場として地域を育てていく。その循環が地域ブランドを生み、ブランディングされた地域は更に多くの市民の参加を可能にするのではないかと考える。

 沖縄のように、地域に宝(人、自然、文化、芸能)が眠っている場所ならなおの事だ。また、地域自治区は市町村より単位が小さいため、1人の意見に重みを与え 自分の意見で街が変わった! アイディアが通った! などの成果と体験で政治や社会を身近に感じることができ、より大きな、社会に対する意欲を起こさせるはずだ。
 さらにこの行政システムで、もう一つの組織を活性することができるのではないかと考える。それは、那覇市だけで160もある「自治会」だ。自治会をもっと社会のシステムに取り込めば、より多くの問題解決と面白い地域システムが誕生すると考える。住民の加入率が低迷するなど、自治会はまだ社会的認知が足りない部分もあるが、この地域協議会に自治会の会長が参加するだけで大きな改善に繋がり、自治会が活性し、結果より多くの市民の意見を吸い上げることができるのだ。

 しかしながら、今現在、那覇市はようやく中核都市になったばかりで上記の提案はすぐには無理だろう、それならばどうすればいいか? 

 那覇市の自治会は前述の5地区にあるが、1地区ごとに1つの自治会を選び、まずは地域協議会と同じような機能を持たせる試みから始めるべきだと考える。それを可能にするため、簡単なITツールの導入から行う。簡易でもよいが地域ポータルサイトを作り、そこで自治会の課題や特色などを発信し、まずは自治会同士が常に情報を共有できる場を作る。

 その次の段階は、その地域ポータルサイト内でNPOや企業とコラボできる「場」を作り出す。コラボはウインウインの関係を基本に据え、コラボ企業は自治会から住民へ企業活動を告知してもらい、更に自社のCSR(企業の社会的責任)とする。
 自治会はそれぞれいくつかの掲示板を保有しているところが多いので、それらを使った告知は力になるだろう。企業が加わるということは、地域のブランディングや経済活性化につながる。NPOも、自治会と組む事により助成金等の活用をしやすくすし、専門性をいかんなく発揮し、地域課題の解決に力を集中できる。

 さらにそれらが、ウェブ上で行われることにより、企業のブランド、NPOの専門性を伴った活躍と相まって若年層へのアピールになり、地域参加の入り口にもなるだろう。具体的な例として、松川自治会では「葬儀プラン」が既に始まっている。高齢者の悩みの1つに「葬儀費用」があるが、これは自治会と企業がコラボして、自治会員のお年寄りには葬儀プランを安く提供し、悩みを少しでも解消しようという試みだ。こういったコラボ企画をどんどん仕掛ける必要があるのではないか。

 そこまで盛り上がってくると、プラスアルファとして、文化や芸能、エンターテイメントもつなげるとより面白いのではないかと考える。なぜなら、彼らも「より地元の人に知ってもらうにはどうすればいいか」という自治会と共通の悩みを抱えているからだ。

 自治会という地域の最前線にある地域中間団体が、多様な団体とウェブ上でつながることにより、地域課題の解消や地域活性化を図る地域協議会のような沖縄独自の地域システムを目指せるのではないだろうか。

 本年度、私は真和志地区の地域づくりに、少しではあるが関わることができるようになった。微力ながら、自分が考えている上記のポータルサイトを作れるよう頑張る所存だ。

 かつての大政奉還は「国の政を還し奉る」、つまり天皇へ幕府が政治を還すという意味だが、沖縄の大政奉還は「国の政を市民へ還す」という意味で使いたい。

 沖縄の大政奉還は、自治会から新しい地域システムを那覇に!と吠えてみる。