海外の絵本はどのようにできあがっていくのか……。そんなことを考えながら絵本を読む方は少ないと思う。
 絵本ができあがるためには、まず、絵本の原稿や翻訳するための海外の絵本がなければ出発できない。
 この、原稿や海外の絵本を探すことが最も難儀な仕事だが、編集者にとって一番楽しい仕事だ!!

『ちっちゃくたっておっきな愛』(ジーン・ウイルス作 ジャン・ファーンリー絵 金原瑞人訳 小峰書店)

『ウィルフきをつけて!』(ジャン・ファーンリー作 金原瑞人訳 小峰書店)

『ちっちゃくたっておっきな愛』(ジーン・ウイルス作 ジャン・ファーンリー絵 金原瑞人訳 小峰書店) 『ウィルフきをつけて!』(ジャン・ファーンリー作 金原瑞人訳 小峰書店)

 今回は、海外の絵本を探す仕事のことを書いてみたいと思う。
 そのあとで、私が大好きな海外の絵本を紹介することにしよう。

 本屋さんや図書館に行けばわかるように、今は本当に多種多様の絵本が出版されている。私が手がけた絵本は国内の作家による絵本と、海外の作家による絵本が半々くらいだと思う。
 国内の作家に絵本の原稿を依頼するほかに、1年に数回、海外に絵本を買いつけに行っていた。
 日本でも、1年に1度、大きな「ブックフェア」が開催されているが、海外では日本の何倍も大きな「ブックフェア」が何カ所かで開催されている。
 
 ドイツのフランクフルトでは、何カ国もの多くの出版社が参加して、本の売買を行っている。
 イタリアのボローニャでは、子どもの本だけにしぼった「ブックフェア」が開催されているが、ここでも各国から、たくさんの出版社が参加している。
 イギリスのロンドンでも「ブックフェア」が開かれている。

 「ブックフェア」で、海外の出版社と交渉するためには、日本にいる間に、40社ほどの出版社とアポイントをとってから海外の「ブックフェア」に出かけていく。
 だいたい1日あたり10社と話をする目安だ。
 しかし、お互い「ブックフェア」という短い期間の中で、たくさんの出版社と会いたいということで、1社あたり30分という短い時間しか先方の出版社の方と話ができない。
 その30分の間に、その年にその出版社から出版される予定の、何十冊もの絵本の見本を見なければならない。
 先方は短い時間でたくさんの絵本を売りこもうとしてくる。時間がせまってくると当然のように早口になってくる。こちらはさして英語など話せないのだから、もう相手の話すことは右から左で、ただ絵本の見本を見まくることになる。
 私の場合、だいたい1日5社ほど回った時点で頭の中が混乱してくる。日本語を話しているのか英語を話しているのかわからなくなってくるのだ。日本人に会っても英語で話しかけたり、海外の知り合いと会っているのに日本語で挨拶したり……。
 恥ずかしい話だが、失敗は数知れない。
 
 そんな中で、この絵本はすごい!! と思う絵本に出会ったときは、天にものぼる嬉しさで、絶対に買いたくなる。
 が……、そこからが激しい競争となってしまう。
 私が素晴らしいと思った本は、日本のほかの出版社の人も素晴らしいと思うことが多い……、いや、ほとんど競争相手がいないまま絵本を買えるなどということはありえない。
 その後は、自分がその絵本にどれだけの魅力を感じ、いくらで買いたいかを伝え、先方の出版社が私の気持ちをどのように受け止めてくれるかを待つしかない。
 そして、運良く買いたい本が買え、契約できたときの嬉しさは、1度味わったら2度と忘れられなくなる。