これまでのレポートにおいて県内の雇用環境は改善傾向にあることをさまざまなデータを紹介しながらお伝えしてきました。しかし高離職率や非正規社員の多さなど、全国と比較すると課題はまだまだ残っています。これらの課題はさまざまな要因が考えられますが、県内の雇用環境のさらなる改善のためには、雇用の創出だけでなく、安定化も重要となってきます。つまり、雇用環境の改善を通して、離職率を低減させていくことも大きなテーマであるといえるでしょう。では、雇用環境を改善していくためには…。

図表1:働きがいがあり、働きやすい事業所は全体の約2割

「働きやすさ」「働きがい」を感じられない事業所が4割以上


 2011年度、海邦総研は沖縄県から委託を受けて県内企業の雇用環境についての実態調査を行いました。今回は同調査結果を筆者なりに解釈しながら、県内の雇用環境の現状と離職者を減らしていくためのヒントになりそうなポイントをいくつかご紹介したいと思います。
 「現在勤めている会社に長く勤めたい」と思える企業とは、一般的には「働きやすい企業」のことだと思います。ただ、「よい職場」というのは「働きやすく」なおかつ「社員を育成してくれる職場」、つまり、この企業で仕事をしていて「働きがい」を感じさせることができるか、という点も重要になってくると思います。
 同調査において実施した従業者アンケートをもとに、「働きやすさ」を横軸に、「働きがい」を縦軸に県内の企業を整理したのが図表1です。
 図表1の第1象限(右上部分)に位置づけられた、「従業者が働きがいもあり、なおかつ働きやすい企業」は、県内においては20.8%(33社)となっています。この「働きやすく」、「働きがい」のある企業は「社員を育成してくれる職場」、つまり「人材育成企業」だといえます。
 一方、第3象限(左下部分)に位置づけられる「従業者が働きがいもなく、働きにくいと感じている企業」、つまり、「人材流出企業」は44.0%(70社)にも上ります。県内においては、人材を育成する意識が低く、働きやすい職場環境が整っていない「人材流出企業」の割合が高いことが伺えます。このような「人材流出企業」で働いている従業者は、可能であれば転職をしたいと考えているでしょう。「人材流出企業」の多さが県内における高失業率、高離職率の要因のひとつとなっていると思います。
 特に「働きがい」だけをみた場合、全体の7割以上の事業所で従業者が「働きがい」をあまり感じていない状況となっています。つまり、県内においては、人材を効果的に育成できている企業が少ないのが現状だといえます。
 県内企業における雇用環境の改善のためには、「働きがい」を感じることが少ない「人材流出企業」や「人材滞留企業」が、従業者に「働きがい」を感じさせることができるような「人材育成企業」に変化していくことが重要になってくるといえるでしょう。