昨年末、ボーダーインクに一本の電話がかかってきた。小社刊の『消えた琉球競馬』(梅崎晴光著)が沖縄タイムス出版文化賞に内定したという知らせだった。さらに、馬事文化の発展に顕著な功績があったとして贈られる日本中央競馬会(JRA)の「馬事文化賞」も受賞、新しい年を迎える直前に舞い込んできた二重のビッグニュースに社内は色めき立っている(2014年「午年」とは無関係だろうが)。

消えた琉球競馬

 同書は、琉球王朝時代から昭和初期まで300年にわたり人々を熱狂させ、しかし何故か沖縄人の記憶から消えてしまった「琉球競馬」の足跡を追うルポルタージュで、沖縄こどもの国の「ンマハラシー復活」などと連動して大きな話題を呼んだ。また書評サイト「HONZ」(http://honz.jp/20636)で著名な書評家が取り上げたり、雑誌『AERA』で紹介されたりしたこともあって、県内外から購入を希望する声が相次いだのである。

 こうした状況の中、小社では大手インターネット通販サイトをめぐってちょっとした困り事が発生していた。そのことについて、当時、小社ウェブサイトのコーナー「社内日報」で担当者が以下のような記事を書いているので全文を引用する。

 2月3日発売の『AERA』が届いた『消えた琉球競馬』の書評が掲載されている。これを読んでみようとamazon通販サイトへいく人がきっといるはず。だけど残念ながらamazonのサイトへ行くと『消えた琉球競馬』の在庫状況は「現在取扱いできません」と表記されている。この在庫状況の説明には「出版社またはメーカーの在庫が切れており、入荷見込みが立っていないため、注文を受け付けられない場合」となっている。これは絶対違います。主語がまちがってます。「出版社またはメーカー」ではなく、「アマゾン」とするべきです。ボーダーインクにはもちろん在庫あります。直接ボーダーインクのサイトからか、クレジット支払いご希望の方は版元ドットコムやその他の通販サイトをご利用いただければと思います。

 そして、小社Twitterアカウントでこの記事へのリンクをツイートしたところ、小社としては過去最多の約120件のリツイートがあった。多くの方々からメンションや引用ツイートなどで同意の声をいただいた。同じような問題を抱えていると思われる編集・出版関係者からの声も多く、県外から激励の電話をかけてくれた出版社もあったりと、思いもよらない反響を呼んだのである。(上記の「社内日報」は小社の事例であることをお断りしておく。また記事は2013年2月のもので、現在、インターネットサイトではamazon、楽天、版元ドットコムほか、小社サイトでも購入可能。もちろん本屋さんでも購入できる)

 amazonをはじめとする大手通販サイトは取扱商品数も膨大、簡単決済で数日中に届くという便利なものだ。引用した記事のような問題に関心が高かったのも、知名度の高さ、利用者数の多さゆえだ。特に沖縄のような離島・遠隔地域においては、こうしたサイトの存在はある種の「福音」に近いかもしれない。だが一方で、上記のような困り事もあちこちで起こっているのが現状である。