前回は「ひきこもり」問題の偏見について書かせていただいたが、今回は「ひきこもり」問題と深く関係がある「不登校」問題を切り口に書かせていただきたい。

 私は常々「ひきこもり」と「不登校」の問題には大きな関連性があると考えている。私が代表を務めるNPO法人ちゅらゆいでは、県南部と中部で親の会を定期的に開催しているが、そこでも「ひきこもり」青年の多くが「不登校」を経験していたり、高校を中退後「ひきこもり」になっているとの相談を受ける。

 厚生労働省の調査にも「ひきこもり」青年の61%が不登校を経験したとのデータがある。この数字の意味するところは重要である。「ひきこもり」青年の100人中61人が中学校段階で「不登校」のサインを出しているにもかかわらず、適切な支援がおこなわれなかった結果、「ひきこもり」状態になってしまっているということだ。「不登校」のサインに対して、適切に学校から専門機関にリファーされていれば、100人中61人の若者は早期対応によって「ひきこもり」状態を回避できた可能性がある。私は日々現場で支援している立場として、この数字は非常に深刻な数字だと考えている。

 この問題に関しては2つの課題がある。1つ目の課題は、学校独自の判断で「不登校」児童を専門機関につなぐことは難しいのではないかという点。先生方は多様な課題を抱えた児童と日々現場で向き合っており、卒業時点でそのような細やかな対応ができるほど、業務的に余裕がないと思われる。また個人情報保護の観点からも、学校独自の判断で専門の支援機関へ誘導することは容易ではない。もっと国レベルで取組みを協議し、青年達が「ひきこもり」状態にならないような制度をしっかり作らないと、この悪夢は解消されないのではないか。

 2つ目の課題は前回の記事にも書いたが、この問題に対して取り組める専門の相談機関が県内に少ない点である。公的制度で見ると「地域若者サポートステーション」(以後「サポステ」)があるが、「ひきこもり」青年への施策というよりはもっと労働の視点が強く、「若年無業者」への就職支援が施策の骨格になっている。サポステは県内3カ所に設置されているが、この制度で相談し救われた青年達は多いのではないだろうか。私もパブリックサービスとしてケース連携させていただいている。

 サポステは私の知る限り、唯一「ひきこもり」も含めた無業状態の若者に対して、国がしっかりと実施した制度である。日本では「若者=自分で仕事を探す」のイメージが強いように思う。「障がい者支援」や「高齢者支援」といわれれば、ニーズに応じて活用できる制度も整備されており、そこには公的資金もしっかりと投入されている。しかし「若者支援」と言われて思い浮かぶ制度があるだろうか。それは若者支援が制度としてしっかり整備されていないということであり、同時に日本は「若者に投資してこなかった国」とも言えるのではないだろうか。