名護市辺野古沖の新基地建設を巡り、海上警備を受注する民間の警備会社「ライジングサンセキュリティーサービス」(東京)とその子会社「マリンセキュリティー」(沖縄市)が抗議する市民約60人分の顔写真や名前を記したリストを作成、沖縄タイムスがその一部とみられる11人の顔と船の写真を入手した。

 業務の一環として市民を撮影し、行動を記録していたという警備員の証言を裏付けるもので、2社の異常な対応が明らかになった。問題発覚後、2社はリストを「破棄した」と説明する。だが、本当かどうか疑念は拭えない。破棄したとすれば自らの行為の不適切さを認めたに等しいが、破棄すれば済む話ではない。

 リスト作成のほかにも、2社は口頭で市民らの詳細な個人情報を警備員に提供したとされるが、対象者の中には、2社が個人情報の出所とするインターネットには掲載されていない人も複数存在する。親族の職業や、県外での個人の活動など詳細な個人情報がいくつも警備員に提供されたという。

 海上抗議行動をまとめるヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は「一民間企業が調べられるはずがない」と指摘する。プライバシー侵害や個人情報保護に関する違法性が強く疑われるこれらの情報を、2社だけで集めたのか。国は関与していないのか。

 不当に得た個人情報の使い方次第では、市民の生命や財産の侵害にもつながりかねない。しかもそれが公共事業の名の下で実施されたとすれば、極めて深刻な事態だ。

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 2社に警備を発注した防衛省沖縄防衛局の対応は鈍い。問題発覚後2カ月近くが経過しているのに、沖縄タイムスへの回答は「事実確認中」にとどまっている。あまりに消極的な姿勢であり、当事者意識が欠けているというほかない。

 国の責任を問いただす仲里利信衆院議員に対して「受注者には警備業法等の関連法令の順守を定めている」(防衛省)と回答した。そうであれば法に照らした事実確認を急ぎ、その結果を直ちに公表すべきだ。

 2社はほかにも、警備員の労働条件について労働基準監督署から是正勧告を受けるなど問題が相次いでいる。

 にもかかわらず、受注業者としての適格性を疑問視した糸数慶子参院議員の質問に対し、「業務委託契約を解除することは考えていない」(同省)と答弁したことも甚だ疑問である。

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 個人情報取り扱いを巡っては2012年、宜野湾市長選に関して沖縄防衛局が同市在住の職員や家族のリストを作成した問題が記憶に新しい。当時の真部朗局長(現同省整備計画局長)は更迭された。

 02年には、防衛庁(当時)海上幕僚監部情報公開室の3等海佐が市民グループ、マスコミ関係者などを思想信条別にリスト化し、官房長はじめ約30人が更迭されている。

 今回の事案が、過去の教訓を生かせていないとしたら、問題の根は深い。防衛省沖縄防衛局は自らの関与の有無を明確にすべきだ。