沖縄都市モノレールの那覇空港駅に入ると、願い事が書かれた短冊が正面に飾られ、風に揺れていた。七夕が近いことに気づいた

 ▼空港駅と降車した県庁前駅でピンクや黄色の短冊を眺めた。幼い字で「なかなおりしたい」とあると、けんかでもしたのかなと心配になり、「病気がよくなりますように」とあると快癒を祈った

 ▼空港駅は中国語の願い事が多く、外国人観光客の増加を象徴している。世の平安を示す「平平安安」や長寿をたたえる「長生不老」の言葉があり、国が違えども願いは同じだ

 ▼日本初の乳酸菌飲料「カルピス」は1919年7月7日に発売され、おなじみの水玉模様の包装も天の川の星々をイメージしている

 ▼製造会社が七夕にちなんで数回実施した意識調査が興味深い。2009年調査では、願掛けの由来を「恋愛の成就を願っていたこと」とした誤った回答が半数を占めた。稲の豊作や女性が機織りなどの手業の上達を祈るのが本来の目的だったという

 ▼風習は変わったが、短冊には、家族の健康や就職祈願、恋人募集、子どもたちの将来の夢など願いが記され、それぞれの世代や時代を反映している。気になったのは、両駅で東日本大震災や熊本地震の復興を願う短冊を見つけられなかったことだ。地震や津波の記憶を風化させてはいけないと自らを戒めた。(与那原良彦)