新基地建設が予定されている名護市辺野古の海上には、海上保安庁のゴムボートや警備会社マリンセキュリティーなどの警備船、会社がチャーターした警戒船がある。警戒船の出港数はその日の作業によって異なるが、1日に10~30隻。原則、午前8時~午後5時の業務で日当5万円をもらう、ある船長は「(警戒業務中は)寝ているか、後は漁具作りしているかだな」と淡々と話す。(北部報道部・伊集竜太郎)

辺野古沖に浮かぶ警戒船(手前)と、航行する市民の抗議船(中央)、並走する警備会社の警備艇=5月

 1日に30隻が出る場合の割り振りは、以前は名護漁協所属の船が15隻、宜野座、金武、石川の各漁協所属が5隻ずつ。現在は国頭(東村内の支部のみ)も加わり、名護の15隻の中の3隻を受け持っている。

 直接、漁協が船を割り振る場合と、漁協は関与せず、業務に従事する船長らが独自で連絡担当者を置いているケースがある。ある関係者は「漁協職員が船を割り振っていたが『あいつの方が出港回数が多い』とのクレーム対応が大変だったため、組合とは関係ない担当者を配置した」という。

 警戒船には、船長、警戒員、警備会社の警備員と、1隻に3人が乗る。関係者によると、漁協によっては船長が警戒員の日当を決めるところもあり、それぞれ残業代もあるという。

 警戒船の船長や警戒員の業務を行うには、海上保安庁の講習を受ける必要がある。船長業務は漁協によって異なるが、多くは正組合員だ。一方、警戒員については漁協によって、船長の妻や子どもを乗せる例もあるという。

 正組合員に対する警戒船の業務従事者の割合は各漁協で5割~9割ほど。ある組合の関係者は「やっていない人の大半は高齢が理由。後は船がないか、別の仕事があるか、基地に反対か」と話す。

 同乗する警備員は「こっちは臨時制限水域に入らないよう反対派に呼び掛けたり、撮影したり、全部やる。警戒船業務自体が漁業補償の延長みたいなものだから、文句は言えないけど」。

■30億円の漁業補償も 1人当たり500万~3200万円

 2014年5月、名護漁協は名護市辺野古の新基地建設に伴う岩礁破砕などに同意。漁業権の消失や制限に対する補償として、国から総額約30億円を受け取った。組合員資格や支部によって異なるが、1人当たり500万~3200万円とも言われた補償金を受け取った、彼らの生活は変わったのか-。

 同漁協所属の漁師の一人は、補償金の多くを漁具購入などに充てた。周囲の漁師の生活ぶりはほとんど変わらず、ぼろぼろの軽トラックに乗り続けている人もいれば、晩酌が発泡酒からビールに「格上げ」した程度の人も。

 一部で毎日のように飲み歩き、飲食店の女性に貢いだり、車を複数購入した人の話も耳にするが「本人次第。他人がどうこう言うことじゃない」。一方で「漁業補償なんだから、もっと漁業に投資した方がいい」とは思う。

 辺野古の工事着手以降、全体の水揚げは減っていると感じている。補償額をみれば、一生遊んで暮らせる金額ではないことは分かる。月に4~5回の警戒船業務で生活費はとりあえず賄えるが、いずれ終わりは来る。「このままいけば、漁師は今の半分もいなくなるんじゃないか」。漁は経験、下積みが必要だからだ。「あくまでも本人次第」と強調した上で、男性は付け加えた。「まひしなければいい」