バングラデシュの首都ダッカで、武装グループがレストランを襲撃し、居合わせた日本人7人を含む20人が犠牲となる残虐なテロが起きた。

 亡くなった7人は、国際協力機構(JICA)のプロジェクトに従事するコンサルタント会社の社員だ。バングラデシュ発展のためにとの志を持ち赴いた技術者らが、無差別テロに巻き込まれたことに強い憤りを覚える。

 事件が起きたレストランのある場所は、各国大使館が立ち並び、外国人向けの飲食店が集まる繁華街だ。治安がいいといわれる地域でのテロは、イスラム過激派の脅威が、アジアにも拡大しつつある現実を浮き彫りにする。

 狙われたのは不特定多数の人が集まり、警備が比較的緩やかな「ソフトターゲット」と呼ばれる場所でもある。アジア地域には多くの日本企業が進出しており、テロの恐怖は、もはや「対岸の火事」ではない。

 たやすいことではないが、リスクをできるだけなくしていく取り組みを、政府と企業が連携し、進めていく必要がある。

 事件では、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。銃撃戦の末、治安当局によって6人が射殺され、1人が拘束された武装グループは、いずれも20代のバングラデシュ人だった。

 米国などの空爆でシリアやイラクでのISの勢力が弱まる中、バングラデシュなど他国に拠点を設ける動きがあるという。若い彼らが、どのようにISの思想に共鳴していったのか、今後、解明していかなければならない。

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 人口の9割がイスラム教徒のバングラデシュで、昨年秋以降、外国人や宗教少数派を狙ったテロが頻発している。9月にイタリア人男性、10月に日本人男性が射殺された事件では、いずれも「イスラム国」支部を名乗る声明が出されている。

 今年に入ってからは、インドネシアの首都ジャカルタでも、ISが首謀した連続爆弾テロが発生している。

 インドネシアやフィリピン、マレーシアでは、ISに感化された若者たちがシリアやイラクに入り、戦闘員としての訓練を受け、帰国するケースも目立つ。

 有志連合などの空爆でISは守勢に立たされているといわれる。その反動としてのテロが中東、欧州からアジアへと今後も拡散する恐れがある。

 国際社会の連携した対応が必要だ。

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 米国務省の年次報告書によると、2015年に世界で発生したテロの死者は2万8328人に上る。

 対テロ戦争以前は千人以下で推移していたことから、軍事力だけに頼った対策には限界があることを物語っている。

 世界中に拡散するテロは、グローバル化や貧困、イスラム社会への偏見などとも深くつながっている。

 テロの世紀といわれる困難な時代である。国連をはじめとする国際社会が21世紀最大の課題と位置付け取り組まなければならない。