18歳からの投票が始まる10日投開票の参院選を前に開かれた「政党×若者座談会」は、県内9政党の政策責任者らと若い有権者との白熱した意見交換が展開された。若者の意見や質問は子どもの貧困対策や就職活動の現状など、生活に関連した政策や課題への関心が高かった。さらに、議員の報酬や政党政治の必要性など政治全般への疑問、憲法改正など幅広く意見が交わされた。

若者たちとの座談会でアンケートに答える県内政党の代表者=3日午後、那覇市久茂地・タイムスギャラリー

■各政党出席者

島袋大さん (自民党県連政調会長)

仲村未央さん(社民党県連副委員長)

比嘉瑞己さん(共産党県委員会県議)

金城泰邦さん(公明党県本部青年局長)

平良識子さん(社大党副書記長)

大城憲幸さん(おおさか維新の会県総支部政調会長)

花城正樹さん(民進党県連代表)

宮城浩さん (生活の党県連副幹事長)

山内晃さん (幸福実現党県本部代表)

■若者の出席者

上原潤也さん(17)=高校2年

玉城りんさん(18)=浦添商業高校3年

城間勇之介さん(19)=琉球大学2年

呉屋慧さん(19)=フリーター

與儀芽萌里さん(21)=沖縄国際大学4年

親川友里さん(21)=琉球大学2年

新崎仁雄さん(24)=琉球大学3年

【司会】国仲瞬さん(がちゆん代表取締役社長兼CEO)

<子どもの貧困対策>必要な子に公的支給を

 今参院選の争点の一つとなっている子どもの貧困や雇用について、学生から質問が集中した。

 親川友里さん(21)=琉球大2年=は「子どもの貧困問題の本質やその原因をどう考えているか」と質問。

 金城泰邦さん(公明)は「親の所得が増えれば子育ての負担が軽くなり、貧困もなくなる。官民が知恵を出し合い、所得が増えるような仕組みを作らなければならない」と答えた。

 花城正樹さん(民進)は「給付型奨学金で、子どもたちの選択肢を広げ、夢を実現できるように投資すべきだ」と語り、給与のベースアップにつなげる政策提言もしていくとした。

 仲村未央さん(社民)は「沖縄は沖縄戦や米軍の占領下で子どもの環境整備が遅れた」と歴史的背景を指摘。「それが尾を引いて、今日の児童福祉環境の乏しさや社会資源の弱さがある」と強調した。

 上原潤也さん(17)=高校2年=は「(私の家庭は)賃金などのデータで見ると貧困かもしれないが、僕はそう思っていない。一律に貧困だと決めてほしくない」と話し、「本当に貧困で困っている子を、国や県が扶養手当を支給するなどして助けるべきじゃないか」と訴えた。

 島袋大さん(自民)は、貧困対策事業が始まったばかりであることを踏まえ「これからどんどん議論を深め、自分たちもしっかり現場を見て、いろんな提案をしていきたい」と述べた。

 比嘉瑞己さん(共産)は「貧困の問題は、雇用の問題に起因している」と指摘。沖縄で非正規雇用が多いことに触れ「正規雇用が当然だというルールを作るのが大切だ」と熱弁した。

 雇用に関し、「就職活動の6月解禁(短期決戦型)についての評価」を各政党に問う質問もあり、城間勇之介さん=琉球大2年=は「短期だとインターンシップ(就業体験)などにも十分な時間が取れない」と指摘。

 短期決戦を「評価しない」と回答した宮城浩さん(生活)は「インターンシップで仕事を体験したりすることで経験値が高まり、就職につながる。学業と並行して引き続き実行してほしい」と話した。

 「評価する」とした島袋大さんは「個人的な考えだが、長い期間をかけて就職活動するよりは、短い期間で集中した方が動きやすく、結論も出しやすいのではないか」と評価の理由を説明した。

<選挙権年齢の引き下げ>学校で政治話しづらい

 若者が投げ掛けた「選挙権が『18歳以上』に引き下げられたことを歓迎しているか」との問いに、全9政党が「はい」と答えた。「知識の浅い学生の発言をどう思うか」「学校では政治の話をしづらい」といった不安の声も漏れたが、各党の代表者は「自分たちが気付いていない視点で意見を言ってもらえるのはいいこと」「おかしいと言える社会が健全。萎縮しないでほしい」と語り掛けた。

 被選挙権年齢の引き下げについても質問が挙がり、7党が「引き下げるべきだ」と回答した。「意欲と責任感を持って立候補するなら、若い人が頑張る方向が望ましい」(公明・金城泰邦さん)などの意見が出る一方で、「時期尚早」との考えを示したのは島袋大さん(自民)。党内で議論が始まっていることを説明した上で、「私個人としては(18歳以上を)大人としてみるシステムを作った上でやるべきだと思う」と話した。

 親川友里さん(21)=琉球大2年=は「社会や政治への意見を言う人はいっぱいいる。意思があってやりたいという人にフィールドが用意されるのはいい」と歓迎した。

 10日投開票の参院選で初めて投票権を得る玉城りんさん(18)=浦添商業高3年=は「投票は楽しみだけど、学校ではなかなか政治について話しづらい。どうしたらいいか」と打ち明けた。比嘉瑞己さん(共産)は「対話が政治参加の一歩。表現の自由は憲法で保障されている」と背中を押した。

 呉屋慧さん(19)=フリーター=は、素朴な疑問を口にした。「なぜ政党に入らないといけないのか。無所属でも活動はできるのではないか」。島袋大さんは「無所属では質問時間も制限があり、ない場合もある。特に国政では、政党に属さない限り非常に厳しい立場がある」と強調。平良識子さん(社大)は、社大は政党要件を満たしておらず、社大の参院議員は無所属の立場だと説明した上で、「国会議員は平等に質問主意書というものを出すことで(内閣と)直接やりとりができる」と話した。

<憲法改正>国の制度変える なぜ触れないか

 憲法改正にも若者の関心が寄せられた。新崎仁雄さん(24)=琉球大3年=は「安倍晋三首相は参院選の結果次第では改憲に踏み切るかもしれないという姿勢だった。だけど、地方での選挙演説では経済政策が最大争点と主張している。国の制度が変わるかもしれないのになぜ(地方では)触れないのかと感じる」と指摘し、首相や政府・与党の対応を疑問視した。

 比嘉瑞己さん(共産)は「同じ危機感を持っている。憲法改正はもっと大きな争点にするべきだ」と争点化の必要性を強調。

 島袋大さん(自民)は「改憲は最大のテーマだが、沖縄では経済か基地が争点として報道されている状況もあるのではないか」と述べた。

<議員の待遇>議員の報酬、適切と思うか

 城間勇之介さん(19)=琉球大2年=は「自分(議員)の給与は高いと思うか」と率直な意見をぶつけた。

 大城憲幸さん(維新)は「全国平均で町村議は20万円、市議は40万円、県議は80万円といわれている」と説明。議員活動は個々で異なり、「一概に高い・安いとの評価は難しい」と語った。

 島袋大さん(自民)は個人の意見と前置きし「安いと思う」と回答。「県議の給与は月75万円。船や飛行機で離島を視察する際に政務調査費(月25万円)で足りない分は自分の給与から出す。電車で移動できる大都市圏と比べると低い方だ」と話した。

■政党出席者の訴え

<自民党県連>

 政権奪還して約3年半、安倍内閣は経済最優先で取り組んだ。道半ばだが、アベノミクスは結果を出している。有効求人倍率は初めて47都道府県で1を超えた。高校生と大学生の就職率は高水準で、企業収益も過去最高。3年連続2%水準の賃上げを実現している。今参院選は、自公の連立政権で安定過半数を確保して、この道を力強く前に進めるのか、後戻りをするのかが問われる選挙だ。

<社民党県連>

 社民は平和や自由、平等、共生を基調とする理念を持った政党だ。特に「個人の尊厳」という立場に力点を置いて政策を練っている。選挙権が18歳以上に付与され、若者政策が注目を浴びるのは歓迎すべきことだ。若者世代の要求は、自助努力や自己責任などで片付けられがちだが、これこそが社会全体で考えるべき課題だ。若者や女性、子ども、マイノリティーに主体を置いて取り組んでいく。

<共産党県委>

 国民の多くはアベノミクスによる景気回復の実感がない。実質労働賃金が5年連続で下がる一方、大企業の内部留保が300兆円を超える現状を見直さないと、景気は回復できない。消費税の増税中止で経済が回復する。返済義務のない給付型奨学金制度を国の責任で創設することが大事だ。ブラック企業の規制、最低賃金千円以上を目指す。安保法制を廃止し、安倍政権の憲法改悪を許さない。

<公明党県本>

 全国で1千万人を超える若者へのアンケートを実施し、非正規雇用の待遇改善、最低賃金千円以上、不妊治療の公費助成、乳幼児教育の無償化などを首相に直接若者の声として届けた。参院選は若者や女性に光を当てるため、長時間労働を是正した仕事と子育て・介護を両立できる職場環境づくり、奨学金制度など教育機会の充実に加え、若者政策を担当する閣僚や部局の設置を掲げている。

<社大党>

 社大は沖縄で最も古い歴史を持つ地域政党で、保革を超えた願いだった本土復帰を目指すために立ち上がった。復帰後も国土の0・6%の沖縄に約74%の米軍施設がある状況を変えるために活動している。参院選の争点は、これ以上沖縄に新しい基地を造らせず、基地の返還を進めることだ。基地が返還されれば雇用の場が増え、経済発展の拠点となり若者の生活の向上につながる。

<維新>

 税金の無駄遣いを許さないという考えが結党の根底にある。政治家は国民が納める税金で活動、生活をするので、まずは自らに使われている給料などをカットする身を切る改革からスタートさせている。参院選では地方分権を実現するための憲法改正を訴える。東京に人、モノ、カネを集める経済と行政は限界がある。地方のことは地方が決めるため憲法を改正してでも統治機構を変える。

<民進党県連>

 政権与党の憲法改正草案に国防軍という表現や、制限のない集団的自衛権の行使が確約されている。米軍基地が集中する沖縄が被害を受けるのは明白で、この暴走を止めていく参院選だと訴える。沖縄は失業率が高く、低所得が多い問題を抱えている。現政権になって深刻化する非正規雇用などの格差是正に取り組んでいきたい。家計や教育で一定要件を満たした人への給付型奨学金も提示したい。

<生活の党県連>

 「生活が第一」「政治とは生活である」という二つの柱を党の理念として取り組んでいる。参院選では重点政策に子育てや教育、雇用、年金などを挙げる。子どもを産み育てやすい環境をつくり、教育では家庭環境に左右されない、子どもの貧困問題の解決に取り組む。県民所得を上げ、安心して働ける世の中を目指す。国民の不安を解消するために政治はある。二つの理念の下で活動を展開していく。

<幸福実現党>

 今回の参院選で3点を政策として打ち出している。まずマイナンバー制度の見直しもしくは廃止を求めていく。制度は国民生活を監視することにつながるのではないか。二つ目は消費税の0%。県を経済特区として、景気を拡大していく。最後に、日米同盟の強化だ。石垣などに連日、中国の軍艦が来ているとの報道がある。アジア全体を見ると、日米同盟を強化していく必要があると考える。