説明責任を尽くし、その上で潔く辞任する。もうそれ以外に有権者を納得させる道はなかった。でも、そうはせず自ら墓穴を掘り続け、都政を混乱させてしまった。

 参院選を控えた政治的思惑から足並みがそろわなかった東京都議会の与野党各会派が最終日の15日、舛添要一知事の不信任決議案を提出することで一致した。

 不信任案の可決には、議員の3分の2以上の出席と4分の3の賛成が必要だ。知事が自ら辞職を表明しない限り、不信任案が審議され可決されるのは確実である。

 高額の海外出張費、公用車の私的利用、大量の美術品購入、家族旅行のホテル代など、次から次に明らかにされる公私混同疑惑。核心に触れることのないのらりくらり答弁が、来る日も来る日も、電波を通し梅雨時の茶の間に流れた。

 都議会の追及に対し、知事はまったくといっていいほど説明責任を果たしていない。 「せこい」「厚顔無恥」とまで非難されながら定例会見では「死んでも死にきれない」と続投の意思を示した。14日になって議長が辞職を促すと「応じられない」と突っぱね、都議会に対しては「リオ五輪が終わる9月まで続けさせてほしい」と懇願した。

 この期に及んで当分の続投を求める姿勢は、冷静な判断を失ったとしか思えない。

 政治とカネの問題で辞職した猪瀬直樹前知事といい、舛添知事といい、東京都知事の目を覆いたくなるような体たらくはいったい、どうなっているのか。

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 舛添知事をここまで追い詰めたのは、都民や有権者の怒りの声である。

 最大会派の自民党が「もうかばいきれない」と方針を転換したのは、参院選への影響を懸念したからだろう。参院選がなければ事態の展開は変わっていたはずである。

 15日に不信任案が可決された場合、知事は10日以内に辞職するか、議会を解散するか、選択を迫られる。

 知事の政治資金をめぐる公私混同疑惑のために議会を解散するというのは、常識的には考えられない。あってはならないことだ。

 しかし、地方自治法で議会を解散する選択が認められている以上、その可能性も完全に消えたわけではない。

 舛添知事は、この解散カードをちらつかせることによって「9月までの続投」という最後の賭けに打って出たのである。知事の進退をめぐる最終攻防の着地点は依然として不透明だ。

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 政治学者のフランシス・フクヤマ氏は、近代的な政治システムに必要な制度・機構として「国家」「法の支配」「説明責任」の三つを挙げる。

 説明責任は民主政治の土台といえるが、選挙で選ばれた公職者は自分にとって都合の悪いことを隠したり、説明したがらない習性を持つ。

 舛添知事に公私混同疑惑に対する説明責任を果たす意思がなく、信頼が失われた以上、職を退くのは当然である。説明責任という民主政治の土台を堀り崩すようなことがあってはならない。