不勉強の身をさらすようだが、その碑について多くは知らなかった。読谷村瀬名波にたたずむ沖縄「恨(ハン)之碑」。沖縄戦時、強制連行され犠牲となった元朝鮮人軍夫たちを追悼するために建立された

▼碑のレリーフには、後ろ手に縛られ連行されながらも堂々とする男性、すがる女性、銃剣を手にする日本兵が描かれている。奪うことのできない人間の尊厳と誇り、真実を明らかにする意味が込められているという。先日の建立10周年の追悼会で、見入った

▼碑の建立に奔走した故・姜仁昌(カン・インチャン)さんは、朝鮮半島から沖縄に連行され、戦後は「従軍慰安婦」や「軍夫」の補償問題などに関わった。同時に韓国と沖縄に、恨之碑を建てる作業に尽力した

▼日本語で「恨」は怨恨など恨むの意味だが、韓国語では違う。悲哀や憤怒、無念などのさまざまな感情が長く胸にとどまり、しこりとなった状態をさすという

▼長い間、米軍基地から派生する問題に翻弄(ほんろう)されてきた沖縄が抱える思いとも重なった。碑に込められた痛ましい歴史を記憶にとどめ、継承する目的は、沖縄だからこそ共有できるものでもあろう

▼追悼会の出席者らは「これまでの歩みをどう次世代につなげていくか」と提起した。問われているのは今である。「関心を持ち続けてください」。姜さんの娘・信榮(シンヨン)さんの言葉が答えだと思った。(赤嶺由紀子)