政府が、米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設工事を22日にも始める方針を固めたことが分かった。

 政府は、同日以降に名護市辺野古の新基地建設を巡り県の提訴を検討してもいる。新基地建設に関しては、10日の参院選で建設を容認した候補者が敗れ、衆参あわせて沖縄選挙区での当選者を失っているにもかかわらずである。

 東村高江の住民らが反対するヘリパッド建設と、辺野古の新基地建設を同時に進めようとするもので、民意を土足で踏みにじる行為だ。

 参院選投票終了からわずか9時間後のことだった。

 11日明け方、突如ヘリパッド建設工事への資材搬入が始まった。翌12日には、高江のメインゲート前での抗議活動に対し、県外から500人もの機動隊を導入する計画が明らかになった。圧倒的な数は、座り込み、時には地面に這いつくばって工事車両を止めようとする市民の必死の抵抗を、力で「制圧」しようとするものだ。

 14日に政府は、新基地建設に関する作業部会で、同建設において新たな提訴をちらつかせ陸上工事実施の意向を一方的に示した。話し合いによる解決を求める県に対し、そんな意思はみじんもないとする傲慢(ごうまん)な態度が見える。

 沖縄以外のどの地域で、このような暴力的対応がまかり通るのだろうか。

 ヘリパッド工事現場への資材搬入について翁長雄志知事は、日本の安全保障に貢献し、今の状況からすると今後も背負い続けていかなければならない県民に対する姿勢として甚だ疑問として「容認しがたい」と断じた。

■    ■

 県議会の与党会派は15日、ヘリパッド建設に反対し、建設の中止などを求める抗議決議を可決する方向で調整に入った。野党・中立会派が賛同せずとも21日の最終本会議に上程し、賛成多数での成立を視野に入れている。同決議は初めてで、県議会の危機感の強さがうかがえる。

 ヘリパッド建設・新基地建設ともに、事件事故の多発で県民が忌避する海兵隊が使用する新施設だ。両者は基地の返還や整理縮小を隠れみのにして沖縄・北部地域を一大軍事要塞化するに等しい。オスプレイという新たな負担も追加される。

 高江では、今もオスプレイが昼夜問わず低空で飛ぶ。ことし6月には高江小中学校の児童3人が騒音による睡眠不足で学校を休んだという。14日昼には、一般道路から20メートルも離れていない場所でオスプレイが離着陸する様子が、複数の市民に撮影されている。

■    ■

 安倍政権は口を開けば「県民の気持ちに寄り添う」とアピールするが、対応は正反対だ。普天間飛行場の返還や北部訓練場の一部返還が、なぜ新たな負担とセットなのか。過重な基地負担に苦しみ続ける県民が納得できる説明はいまだ無い。

 代わりに高江や辺野古で繰り返されているのは、暗闇に乗じた資材搬入や工事という異様な行為だ。そんな政策に一体どんな正当性があるというのだろうか。